激動する社会の波におぼれずに、自分の頭で考え 行動しようじゃないの。 命令されるのなんか 大嫌い。「群れない、媚びない、とんでもない」の猫の精神でがんばっていきまっしょい。
 格差を拡大し続ける強欲資本主義 その2  映画「マージン・コール」とトマ・ピケティへのインタビュー
2015年01月04日 (日) | 編集 |

格差を拡大し続けるグローバル資本主義。
その弱肉強食の資本主義世界を象徴しているのが、ウォール街だ。
映画『マージン・コール』(2011年)は、そんなウォール街で突如起きた08年の
リーマン・ショックをモデルに、ある巨大投資銀行のバンカーたちの非情な行動を
描いた作品である。







あの金融危機が起きた際、私物を入れたダンボール箱を抱えた金融マンたちが
ウォール街にあふれた姿をテレビ画面で見て、不審な思いを抱いた人も多かった
はずだ。
映画『マージン・コール』にも、突然のリストラを言い渡された人々がダンボール箱を
抱えてオフィスを出るシーンが描かれる。
大量解雇が進む中、緊急役員会議が開かれた。
そんな中…。







重役専用の最上階のレストランで
ひとり優雅にランチを食べるCEOのタルド(左)と
自分だけクビを免れ、憔悴したリスク管理部門トップのサム(右)。




タルド:「仕事を失った連中に申し訳ないと? それは無駄なことだ。これと同じことを君は40年間続けてきたんだろ? だったら、他人のことまで気にすることはない。すべてはカネだ。わかるだろう? カネがあるおかげで食料を奪い合うことも、他人と殺し合うこともない。それの何が悪い? 世の中はそうして回ってきた」
「成功すればカネになる。失敗すれば終わるだけ。勝者と敗者は、いつも同じ数だけいる。幸福と不幸、金持ちと貧乏人が隣り合わせの世の中さ。もちろんきょうはいつもより敗者が多いかもな。だが両者の割合は決して変わらない」
「この業界で生き残るためには3つしかない。先手をとるか、頭を使うか、人を欺くか」


そしてタルドたちは取引客を欺いて、市場が異常事態に気づく前に、無価値になった
不良債権(サブプライムローン)を売り叩く。
自分だけが生き残るために。
そして社員たちの80%が解雇された。










去年「格差を拡大し続ける強欲資本主義 その1」を書いて、その続きの「その2」を
12月7日にアップするつもりが、なんと1ヵ月遅れになってしまった(ーー;)
その間に第3次安倍政権が発足し、さらに円安が進んで国民生活を圧迫している。
加えてOPECによる原油安容認決定で、サウジやロシア、ベネズエラなどの産油国と
欧米との間で新たな金融戦争が勃発した。
日本のメディアはロシア危機と大きく取り上げているが、原油価格下落によって本当の
意味で危険なのは、むしろ米国のシェールオイル業界だ。
なんとウォール街の巨大投資銀行はシェールオイル・デリバティブに関わっており
シェール・バブルがはじければ、上のリーマン・ショックと同様、世界金融危機の再来と
なってしまうだろう。
で、生き残るのはまた金の亡者たちだけ、というわけである。


さてそんな格差社会が拡大する中で話題になっているのが、トマ・ピケティの
『21世紀の資本論』
である。
本書は大著で価格も高いので購入してないが(^_^;) 「週刊東洋経済」14年7月26日号に
ピケティ氏の独占インタビューが載っていたので、その一部をご紹介する。

まず特集記事の解説によると、『21世紀の資本論』で指摘されている3つの重要な点とは、
【1】経済成長率よりも資本収益率が高くなり、資本を持つ者にさらに資本が蓄積していく
  傾向がある。
【2】この不平等は世襲を通じて拡大する。
【3】この不平等を是正するには、世界規模で資産への課税強化が必要だ。

以下はインタビューの一部より。

―― 不平等の維持を食い止めるためには、どんな政策が必要ですか。

 理想的な方法は資産への累進課税だ。固定資産税など、すでに存在している税の枠組みを利用して課税強化すればよい。徴収方法は必ず累進的にして、課税の対象は資産・負債の差し引きを考慮した純資産で考えるべきだ。
「資産の集中を制限するとイノベーションが阻害される」という意見もあるが、それは誇張だ。ビル・ゲイツは30年前に米マイクロソフトを設立したが、現在の数百億ドルの資産を手にするために起業したわけではない。仮にそれが5億ドルだったとしても、よい仕事をしたはずだ。
 資産への累進課税は、ある程度までは国内で完結する。ただし最も大きなレベルの資産については、国際的な協調が必要になるだろう。

――もし資産への累進課税が実現したとすれば、富裕層はどう反応するでしょうか。

 課税は寄付とは違う。民主主義に基づいて多数決で決まり、全員に影響する。富裕層が賛成する、しないは関係ない。民主主義の力によって富裕層に法の規則を与えることは可能だ。
 たとえば5年前まで、厳格な守秘義務を持つスイスの銀行は顧客情報の開示などしないと誰もが思っていた。だが、米国が(脱税幇助だとして)制裁を加え、スイスの銀行はやり方をがらりと変えた。
 この例が示すのは、明確な制裁をもってすれば前進があるということだ。この点について私は楽観的で、結局は民主主義が透明性を確保する方向に動かすと思っている。
 民主的な仕組みを論じるに当たって、金融の不透明性は非常に問題だ。多くの資産が隠され富裕層が税を逃れているのに、サラリーマンや中間層、貧困層に増税を行うことはできないはずだ。

――このインタビュー前に、日本の経済成長率や人口動態などのデータをあらためて見ていただきましたが、日本についてはどうご覧になりますか。

 日本のケースは私の主張を裏付ける端的なものだ。欧州と似ているが、欧州よりも端的なケースになっている。1970年から2010年までの期間で見ると、国民所得に対する民間資本の割合は、戦後の約3倍から、現在では6~7倍になっている。この変化はイタリアや英国、フランスとかなり近い。経済成長がスローな国では資産の蓄積がより大きくなる。
 日本社会で注目すべきもう一つのポイントは人口動態だ。人口が増えないどころか減少している。

――人口減少社会は、どのような不平等を生むでしょうか。

 人口が減る社会は、時代を経るにつれ大きな不平等を生むリスクを抱えている。子どもの数が少ない社会では、相続財産、つまり過去に蓄積された富の割合が大きくなる。
 夫婦に子どもが10人いるなら相続はそれほど重要ではない。1人が継ぐ財産の量は少ないからだ。子どもは自分で仕事をして、自分で富の蓄積をすることになる。
 一方で、人口減少社会では前世代が形成した富をその後の世代が引き継ぐので、富の蓄積がどんどん進む。夫婦に子どもが1人しかいなければ、両親から財産を受け継ぐ。双方の親に富がなければ、どちらからも財産を継承できない。こうして、世襲によって受け継がれる不平等がとても大きくなる。仕事で成果を出しても報われないリスクも高まるということだ。
 民間資本の割合が大きくなったときに解決策となるのは何か。日本の解決策は欧州と同じように所得への課税を少し減らし、資産への課税を少し増やすことだ。大半の国で国民の給料水準は上がっていない。一方で、不動産、資産の高度な資本化が進んでいる。所得に対して減税、資産に対して増税するのは自然な解決策だろう。(経済成長を促すために)金融政策だけに頼るのは間違いだ。われわれは税務政策に比べ、金融政策に対して高い期待を持ちすぎている。

――日本では中間層であっても失業や病気などをきっかけに、簡単に貧困に陥ってしまいます。この状況をどうご覧になりますか。

 中間層やそれより少し下の階級には確かにこうした危険がある。欧州、米国でも同じだ。主に二つの危険があるといえる。
 一つは就業のリスクだ。いかにして安定した給料のよい職業を得るか。それには職業訓練や高等教育の制度についての議論が欠かせないが、どの国も理想的なシステムを実現したとはいえない。
教育機会の平等を実現するのは、とても難しい。米国の優秀な大学は研究の効率性を高めたが、同時に教育の機会に関しては著しい不平等を生んだ。多くの米国人は十分な教育を受けられていない。米国の教育は信じがたいほど不平等なシステムで、21世紀には好ましくないものだ。多くの国民が高度な職業資格を取れるようにすべきで、それゆえ教育の分野に大きな投資が必要になる。また教育機関にも、幅広い世代の人間を受け入れる仕組みが必要だ。

 中間層にとってのもう一つの危険は、金融の規制緩和だ。多額の富を持つ者は(リスクの許容度が高いなどの理由で)高い利益を簡単に得ることができるようになる。中間層にとっては、利益を得るのは現在の状況では非常に難しい。中途半端な資産はほとんど利益を生まないこともある。(国の)総資産に占める、中間層が保有する資産の割合は減っていくことになる。これはかなり不安なことだろう。
 解決策はやはり、資産の透明性をもっと高めることだろう。社会の状況をよりよく知ることができれば、実態に即した政策が取れる。

 


かつて日本は「一億総中流」といわれた時代があった。
それはたぶんに作られた幻想ではあったが、それでも累進課税によって、極端な金持ちも
貧乏人もいなかった。その後、金持ちに有利な税制に変わっていき、労働者よりも株主が
優遇されるようになって、次第に経済格差が広がった。
以前Twitter上で、累進課税の強化やフランスのような「富裕税」の導入が必要だと意見を
書いたことがあったが、ピケティ氏も同じようなことを言っているのを知り、ますますグルーバル
資本主義とそれを推進するアベノミクスへの危機感を強くした。
特に主権者意識が希薄な日本においては、ピケティ氏の言うように、はたして「民主主義が
透明性を確保する方向に動かす」ことが可能なのか、楽観的すぎないかと危惧するもので
ある。




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