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 米国サンオノフレ原発に見るメーカーの賠償責任
2013年06月13日 (木) | 編集 |

配管破損で水漏れ事故を起こして停止中の米国サンオノフレ原発2基の
廃炉が決定した。事故から廃炉に至るまでをジャーナリストの堀潤氏が取材した
ので、全文を以下に転載する。
サンオノフレ原発は海岸線に建てられていて、住民や環境保護団体は再稼働反対、
一方原発で働く労働者は再稼働を強く求めるなど、日本のケースと似通っている。
それがなぜ廃炉決定となったのか。廃炉への経緯で日本と決定的な違いは何だった
のか、その点を明らかにすることで、日本の原発の現在そしてこれからの対処法へ
大きなヒントになると思う。







6月7日、米電力会社エジソン・インターナショナル傘下の
サザン・カリフォルニア・エジソンは、蒸気発生器の配管が破損し
運転を停止しているカリフォルニア州サンオノフレ原発について、
原子炉2基を廃炉にすると発表した。
昨年11月撮影(2013年 ロイター/Mike Blake)




huffingtonpost 6月10日
  http://www.huffingtonpost.jp/jun-hori/post_4943_b_3412954.html

      三菱重工製の配管欠陥で米サンオノフレ原発が廃炉へ 
              問われる損害賠償リスク


   堀 潤

米国で、日本メーカーがかかわる原発の廃炉が決まった。
日の丸原発の海外輸出に大きな影響がでるのか。

三菱重工業製の蒸気発生器の配管破損で水漏れ事故を起こし、稼働が停止していた米カリフォルニア州南部のサンオノフレ原発について、運営する米サザン・カリフォルニア・エジソンは現地時間6月7日、全ての原子炉を廃炉にする、と発表した。エジソン社は三菱重工に対し、損害賠償を請求するとしている。

サンオノフレ原発で事故が起きたのは去年1月31日。3号機の配管が破損し、微量の放射性物質を含む水が漏れ出した可能性があることが明らかになった。定期点検中だった隣の2号基でも配管内の異常な摩耗がみつかった。その数は合わせて1万5千カ所以上に上り、米原子力規制委員会(NRC)は全基の稼働を禁じていた。NRCは事故原因について、三菱重工側の設計ミスだとも指摘した。

筆者は、去年6月からこの問題の取材を続けてきた。

サンオノフレ原発はロサンゼルスの南東およそ100キロに位置する。さらに車を40分ほど南に走らせると、人口122万人の都市サンディエゴがある。地元ではサーフィンの名所として有名で、原子炉は砂浜に面した海岸線に建てられている。

エジソン社と三菱重工は事故以来、再稼働に向けて、欠陥の見つかった部品の設計変更や新たに開発した配管の安全検査を進めてきた。去年10月には、安全性が担保されたとして、2基のうち1基を70%の出力で再稼働させたい、とNRCに申請していた。

しかし地元住民や環境保護団体は、原発の安全性に疑問が残るとして再稼働に反対。事故を起こした装置のみならず、原発の敷地を取り囲む津波防御壁の高さが、東日本大震災級の地震による津波には十分に対応しきれず、事故が起きた時の避難計画も不十分だとして、NRCに対して再稼働を認めないよう訴え続けてきた。

一方、サンオノフレ原発で働く労働者による組合は、生活が成り立たなくなるとして、エジソン社に対し、早期再稼働を強く求めてきた。地元の雇用維持は、原発を抱える地域の共通の課題だ。

NRCはこうした状況を受け、1年以上にわたり定期的に周辺地域で公聴会を実施。エジソン社と地元住民との対話の場を設けるとともに、原子炉の安全性について独自に検証を続けてきた。当初は電力需要の増える昨夏にも再稼働容認か、とも報道されたサンオノフレ原発だったが、NRCは再稼働に向けて慎重な姿勢を見せ続けた。

再稼働にいよいよ黄色信号が灯り始めたのが去年11月。NRCのチームが神戸にある三菱重工の事業所を調査したところ、再設計した配管の安全検査の手順に不備が見つかったとして、三菱重工以外の第三者機関による再検査の実施を求めたことが明らかになった。NRCは三菱重工側とメールでやり取りした往復書簡をウェブサイトで公開、地元メディアは一斉にこの問題を報じた。

NRCは今年3月、三菱重工とエジソン社が設計上の不具合を事前に把握しながら十分な改良をしなかったとする三菱重工作成の報告書を公表。再稼働に向けて追加の修正申請が必要になることを明らかにしていた。

筆者はこれまで各地の公聴会を訪ね歩き、その様子をカメラにおさめてきた。その都度、地元や周辺から1000人近くが参加し、NRCやエジソン社と3、4時間にわたって対話を続けた。NRCは住民らやエジソン社から聞き取りを続け、不安材料が明らかになるたび、再稼働に向けた見通しをその都度先延ばしにしてきた。NRCのそうした常に中立な姿勢が印象的だった。

NRCは、米国史上最悪と言われる1979年のスリーマイルアイランドでのメルトダウン事故以来、電力会社などからの独立性を担保しようと組織改革に努め、NGOなど第三者機関との連携を強化してきた。

今回エジソン社に廃炉を踏み切らせたのは、NRCが時間をかけ再稼働申請を検証してきたことが要因の一つだ。1ワットも生み出さない原発の維持に多額のコストがかかるのは「利用者や株主にとっても不経済だ」として、廃炉を決めた。

稼働を止めた去年1月からの維持費や再設計にかかったコストの一部支払いを、エジソン社はすでに三菱重工に請求している。請求額は100億円を超えるとも言われている。今後は廃炉にかかる費用などがさらに重くのしかかる。

日本では震災前から、経済回復のための国策としてインフラ輸出が推進されてきた。日本政府は今、トルコやインドなど海外への原発輸出を促進している。しかし海外では、事故やトラブルによる損失はメーカー側が負担するケースが目立つ。

サンオノフレ原発の今ある2基は1983年と1984年に運転が始まり、すでに約30年が経過している。しかし今回不具合が明らかになった水蒸気発生装置は、2009年と2010年に導入されたばかりのものだ。日本政府は、東日本大震災による原発事故を教訓に日本メーカーの安全対策は強化されている、と胸を張る。しかし、事故やトラブルが100%起きないという過信はできない。損害賠償リスクはどこまで織り込まれているのか。

日本経済の防衛力に関わる問題だ。




一方損害賠償を求められる立場の三菱重工業は、業績に影響はないと強気だ。
しかしながら堀氏も指摘しているように、海外では原発事故やトラブルに際しては
メーカー側が責任を負うのが一般的であり、安倍内閣が進める途上国への原発売り
込みは、いざトラブルが発生した場合は巨額の賠償責任が発生する恐れがある。
他方、肝心の国内の福島原発事故ではメーカーの日立などの責任や賠償は未だ
問われていない。グローバリズムだ、世界標準だのというのなら、まず福島での
賠償を自ら行うのがスジだろう。
きちんと賠償責任を取り、事故を収束させてから他国への売り込みを考える。
せめてこうした最小限の道理を通してからでなくては、再稼働・輸出など口にする
ことは決して許されないのだ。


ロイター通信 6月12日
  http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0EO0TG20130612

       三菱重工 、米サンオノフレ原発の廃炉による
             業績への影響はない


[東京 12日 ロイター] - 三菱重工業 は12日、米電力会社エジソン・インターナショナル 傘下のサザン・カリフォルニア・エジソン(SCE)がサンオノフレ原発(カリフォルニア州)の原子炉2基を廃炉にするにあたり、三菱重工側への業績への影響は「ない」との考えを示した。

SCEは7日、蒸気発生器の配管の破損で運転を停止しているサンオノフレ原発について、原子炉2基を廃炉にすると発表した。蒸気発生器は三菱重工製で、配管が破損し、微量の放射性物質が漏れ出したことを受け、2012年1月以降、原子炉は運転を停止している。

原発停止に関連し、SCEは第2・四半期に、税引き前で4億5000万─6億5000万ドル、税引き後で3億─4億2500万ドルの費用を計上する見通し。三菱重工に損害賠償を求めるほか、保険による補償を一部求める方針。

三菱重工はサンオノフレ原発向けの蒸気発生器について、契約を適切に履行してきたと説明。原発の停止による間接的な損害についても責任は排除される契約となっており、現時点で業績に影響が出ることはないという。





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