

写真:ロイター通信
8月21日、内戦状態が続くシリアを取材していた
日本人女性ジャーナリストの山本美香さん(45)が、
政府軍と反体制派による戦闘に巻き込まれて死亡した。
写真はアレッポ北方で撮影(2012年 ロイター/Youssef Boudlal)

アレッポときいて思い浮かぶのが、アラビアのロレンスこと、T・E・ロレンスの著書
『知恵の七柱』だ。
カイロ、スミルナ、コンスタンチノープル、ベイルート、アレッポ、ダマスカス、メディナ…。
これらアラブの都市名が、ロレンスを描いた映像作品(『ロレンス1918』)の中で魅惑的な
響きをともなって語られるのを、何度も繰り返し聞いたものだった。
私は以前からシリア産オリーブと月桂樹で造られた「アレッポの石鹸」を愛用しているが
これもロレンスの足跡に影響されてのことだった。
その美しい都市が、戦闘で無残にも破壊され続けている。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE87J06320120821
シリアで取材の山本美香さん、
アレッポで戦闘に巻き込まれ死亡
[ベイルート/東京 21日 ロイター] 内戦状態が続くシリアを取材していた日本人女性ジャーナリストの山本美香さん(45)が21日、政府軍と反体制派による戦闘に巻き込まれて死亡した。
山本さんは独立系通信社ジャパンプレスに所属し、これまでアフガニスタンやイラクでの戦争を取材してきた。2003年には優れた国際報道に贈られるボーン・上田賞特別賞を受賞したこともある。シリアでは、反体制武装組織「自由シリア軍」に同行して現地取材に当たっていた。
現地で一緒に行動していたジャパンプレスの佐藤和孝さんによると、山本さんは政府軍による銃撃を受けたとみられる。佐藤さんは日本のテレビ局の電話取材に対し「迷彩服の集団が前方から来るのが目に入った。政府軍兵士のように見えた。銃を乱射し始めたが、彼らとの距離はわずか20─30メートルか、もっと近かったかもしれない」と当時の様子を語った。
シリア人権監視団によると、山本さんたちが銃撃に巻き込まれたのは、戦闘が激化しているアレッポのスレイマニヤ地区。また共同通信などによれば、山本さんは20日朝、トルコ南部キリスから国境を越えてアレッポ入りしていた。
17カ月に及ぶシリアの戦闘で、日本人が犠牲になったのは初めて。藤村修官房長官は記者会見で「極めて遺憾だ。このような行為を強く非難する」と述べた。
シリアの活動家団体によると、レバノンやトルコ、アラブ圏のジャーナリスト各1人もアレッポで行方不明となっている。
アサド政権の退陣を求める反政府デモが本格化した昨年3月以降、シリア国内では少なくとも1万8000人が死亡。国連によると、すでに17万人以上が国外に脱出し、250万人が支援を必要としている。

しかしながら彼女の銃撃死を伝える報道のあり方には、どこか違和感を感じざるをえない。
特にNHKはトップニュースで繰り返し放送し、戦火の中の女性と子どもを撮り続けた
山本さんの業績を高く評価し、その死を悼む内容を報じた。
また22日の共同通信も「英BBCも異例の扱い」というタイトルで、
【英BBC放送は21日、ジャーナリストの山本美香さん(45)がシリアで取材中に銃撃戦に巻き込まれ死亡した事件について、ニュース番組で2分以上の時間を割いて報道した。英国人や英メディアの記者以外では異例の扱い。山本さんの父親や、行動を共にしていたジャーナリストの佐藤和孝さんの様子も放映。BBCは「山本さんはイラクやアフガニスタンの紛争地帯も取材し、何度も命の危険を冒した記者だった」と死を悼んだ。】
これまでもイラクやアフガンで銃撃死したり拘束された日本人ジャーナリストやカメラマンが
いたし、首を切られて処刑された旅行者もいた。
しかし彼らは賞賛どころか、自ら危険地帯に入ったので自己責任だと断罪され、家族まで
謝罪を求められたのではなかったか。彼らと山本さんとの違いは何なのか?

きわめてきた。
ロレンスのときも、独立を求めて立ち上がったアラブを、英国は二枚舌で裏切った。
隙あらばアラブを根こそぎにしたいとアングロサクソンは思い続けているのだ。
「アラブの春」の美名のもとにシリア内戦も、政府軍=悪、反政府軍=正義という
構図で語られるが、実際はプロの傭兵が反政府軍に加わり多数の女性や子どもを
殺してきた。
しかしその事実は、西側メディアで報じられることはない。
なぜなら悪の政府軍を支援しているのはロシアや中国で、正義の反政府軍を支援して
いるのが英米とその仲間だからだ。
BBCやCNN、日本のテレビがなぜ山本さんを過剰に賞賛して利用するのか、これが答えだ。
反韓国・反中国の気運が高まりそうなこの時期に、山本さんのこの戦場でのリアルな映像が放映されたことで、「逆に」冷や水を浴びせた感じになった・・国民の頭に血が上るのを多少なりとも押さえた気がします。
偶然というか、意図せずとして・・そういった意味で墓穴をほったみたいでメディアザマミロです。
