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激動する社会の波におぼれずに、自分の頭で考え 行動しようじゃないの。 命令されるのなんか 大嫌い。「群れない、媚びない、とんでもない」の猫の精神でがんばっていきまっしょい。
 原発事故の悪夢は小説世界を超えた
2011年04月04日 (月) | 編集 |


 地球は、大気も、大地も、水もすべて汚染された。
 地球を、人類は捨てた。自ら自然の摂理を破壊し死に追いやった地球を、人類は見捨てた。
 だが、置き去りにされたのは、地球だけではなかった。人類は、その一部が、他の大部分を置き去りにした。同じ人間でありながら、新しい世界をめざして旅立ったのは、そのごく一部にすぎなかった。
 選別は、密かに進められた。貧しい者、病気にかかっている者、思想的に危険とみなされる者を、真っ先にコンピュータがはじき出した。
 かつてない人類の大移動が、流血の中で開始された。おびただしい犠牲者が出た。選ばれなかった人々は、怒りと絶望と涙とともに、闇のかなたへ葬り去られた。
 そして、人類は旅立った。スペース・コロニーという新天地へ。そこは新世界「パラダイス」と呼ばれた。
 人類は、この新世界で、まったく新しい歴史を創り出そうと決意していた。いまだかつて実現したことのない理想の世界を、今度こそ創り出そうと…。
 だが、その理想の実現のために、あまりにも多くの人々が命を失い、かろうじて生き延びた者たちも、地球とともに希望のない日々を生きていかねばならなかった。
 地球は、旧世界「ピット」と呼ばれた。ピットとは墓穴、または地獄を意味する。










■これは今から25年近くも前に、私が同人誌に載せるために書いた文章だ。 
ちょうどその頃、ある小説の同人に加わり、その後数人の仲間と新しい同人誌を創った。
ほんとうの趣味というか、遊びで書いていたわけだが、私は同じテーマのディストピア
物語を、異なった視点からのバージョンでいくつか文章にした。
上のは『パラダイス』というタイトルのSF小説のプロローグで、ごく最初の部分。
実際には30年程前にノートに書き綴ったものなので、今読み返すと恥ずかしいくらい
へたくそな文章だ(^^; 
今回の大災害と原発事故で、フッとこの古い自分の文章が頭に浮かんだ。


■地球を捨てざるを得なくなったほどの汚染とは、この当時は、核実験とイギリスの
ウインズケール(現在の名前はセラフィールド)核工場事故などの深刻な放射能汚染が頭に
あった。

簡単に解説すると…
スペース・コロニーに建設した新しい地球「パラダイス」に暮らす人間は「パーソン」と
自称し、汚染された旧地球に取り残された人々は「ボディ」と呼ばれた。
恐ろしいほどの差別的な棄民政策なのだが、罪の意識に悩むパーソンたちは、志願者を
募って、ボディたちの生活支援のために、半ば強制的にピットへ送り込んだ。
それが通称「ドクター」と「ポリス」の2つの役職である。
またピットのボディたちも3つのタイプに分けられている。
「クリーンボディ」…まだ汚染によって発病していない健康体。
「ダーティボディ」…発病した汚染体。
「サイレントボディ」…死者。

【ドクターはダーティボディのケアを担当し、彼らが死んでサイレントボディになると、それをポリスに報告する。ポリスはクリーンボディの日常生活の指導と統制を担当するとともに、ドクターから報告を受けたサイレントボディを回収する、というのがその主な任務の内容だった。】

さらにドクターをアシストするために「ヘルパー」と呼ばれるアンドロイド型ロボットが
一方ポリスには、「ガード」と呼ばれるロボットが配されていた。
なんか現在の介護ロボットを髣髴させるようで笑ってしまうが、未来の地球にはさまざまな
ロボットが送り込まれて、さながらロボットの展示場のような様相を呈しているというわけだ。
また書いた当時は、パソコンはおろか携帯電話までまだ出てなかったが、ドクターは超小型
多機能コンピュータ「ミラクルフォン」を、ポリスは「ギガフォン」を携帯していると想定した。
ミラクルフォンなんて安直なネーミングだなと思っていたら、最近はスマートフォンなるものも
出たので、それほどひどいセンスでもなかったなと、妙なところで安堵した(^_^;)


■それからしばらくたって、今から16年前に同じテーマで書いたものも、ついでに掲載する。
タイトルは『スプリング・エフェメラル』。ここでは明確にチェルノブイリ事故を意識した。
ほんとうはこの後も何本か構想していたのだが、同人誌を作るのにお金はかかるし、私の小説
の内容自体もあまりに冷酷かつ残酷すぎると批判が噴出して、この時点で筆を折った。

というわけで、第1章のほんのさわりの部分だけ…。ちょっと長いけど_(^^;)ゞ











 「冬眠(トーパー)」解除の陰気なブザー音が、一向に鳴り終える気配もなく、低く細く続いている。こんな場合P・K・ディックなら、「異様にずきずきする頭をかかえて、バーニィ・メイヤスンは目をさました。そこは見なれぬ集合住宅ビルの見なれぬ一室だった」などと書き始めるところだろうが、この時の私もまさに2週間ぶりに、ディック流の唐突な眠りから目覚めたのだった。
 まだ靄(もや)が薄く張りついたようにぼんやりした意識のまま、「冬眠」ルームの低い天井に視線を移動する。次第に明るさを増していく照明が、いくぶん煤けたようなクリーム色の壁に点在する小さなしみの一つ一つを、鮮やかに浮き上がらしていった。
 血液のドクドクという流れがこめかみに伝わってくる。人は、そう簡単には死ねないものらしい。特に変哲のないごく平凡な目覚めにいささかの失望を覚えながらも、サーヴィス・ロボットから手渡された紙コップ入りの熱い野菜スープを一口すすると、腹立たしいほどの安堵感が、私の全身を透明な膜のように包み込んだ。
 じきにカプセルベッドの周囲が、起きだしてくる人々の動きや会話でざわざわと騒がしくなった。その騒がしさはかなり無秩序ではあったが、どことなく活気を欠いたざわめきでもあった。
 1時間後には、私たちはたいして大きくもない手荷物をかかえて、巡航スペースシップ「ピトスⅣ号」から月基地の一角にあるターミナルドームに移り、各目的地行きのルナ・フェリーを待っていた。総勢約60名。この他にも100体近くのロボットたちが同乗する。
 同じスペースシップの1等キャビンに乗っていた連中(互いに顔は知らないが、30名前後だと思う)は、一足早く「ピット」と呼ばれる旧地球(ガイア)に到着ずみのはずであった。彼らは人工冬眠など必要としない。もちろん長期にわたる航行にはすべて冷凍睡眠(コールド・スリープ)が用いられるが、金銭的な余裕のある者にとって、半月程度の旅はむしろ楽しむために存在するといってよい。冬眠(トーパー)は、食費と部屋代をギリギリまで節約する窮余の方策なのだ。たとえば私のような中下層クラスの短期旅行者や、ボランティアの名目でピット各地へ強制派遣される新人のドクターやポリスたちのような者のための。
 後発メンバーの60名の中に、かつてハイスクールで共に学び合った仲でありながら、今では敏腕ジャーナリストとして人気の高い、『リベルタス』紙の谷内哲郎の姿が当然あるはずのないことを目で確認しつつも、私は一種表現しがたい虚無感におそわれていた。
『リベルタス』紙のような一流どころの記者たちは、すでにピットに渡っている。谷内の名もその中にあった。私があえて今回の派遣取材を承諾した理由の一つに、谷内と同行できるというかすかな期待があったことを正直に認めざるを得ない。だが淡い恋心を抱いたこともある過ぎ去った青春時代の旧友とはいえ、私たちの間には、もはや越えることのできない高い壁があった。売れっ子ジャーナリストと、三流誌の名もない臨時雇いライターという…。私の中には、彼に再会できる密かな喜びと同時に、打ち消しがたい大きな恐れも同居していたのである。
 そうした自らの迷いを覆い隠すかのように、私はターミナルドームの外の風景を凝視し続けた。発進を待っている数機のルナ・フェリーの向こう側で、新たな巨大ドームが建造されている最中だった。何ができ上がるのだろうか。この月基地は、私が以前想像していたよりも、はるかに大規模な開発が行われていた。

 私が7名の同乗者と9体のロボットと共に東京スペースポートへ降り立った頃には、あたりはすっかり暮れなずみ、11月の乾いた埃っぽい風が容赦なく目に飛び込んできた。私たちはあわてて用意したアイグラスをかけ、鼻と口を手で覆った。ピットを訪れる者は全員が、紫外線防止と癌予防のための免疫強化カプセル薬を皮膚内に埋め込むことを義務づけられてはいるものの、さすがにみんな緊張の色を隠せない。
 今をさかのぼること1世紀以上も前、ここピットの北方に位置するロシア・エリアのチェルノブイリ原発4号炉で核爆発事故が起きて以来、フランス、北アメリカ、そして再びロシアと、小規模ながら世界各地で放射能放出事故が多発し、日本でも時代の要請に取り残された形の高速増殖炉や再処理工場の相次ぐ故障で、最悪の放射性毒物プルトニウムが飛散した過去があった。
 プルトニウムの半減期は2万4000年である。現在でもプルトニウム239や240といった放射性物質の微粒子(ホットパーティクル)が、あらゆる土壌の中に点在し、風に乗って舞い上がり、呼吸を通して肺の中に入り込む危険性は十分あったのである。それだけではない。ドラム缶等に入れて処分済みの大量の放射性廃棄物も、地下水や地震などの影響を受けて、じわじわと長期にわたって漏れ続けており、新たな汚染を引き起こしていた。
 
 寒気が足元から昇ってくる。そのまま5分ほど待ったあとで、3台のソーラーカーが迎えにやって来た。1台目には、2名の新人ドクターと2体の医療用ヘルパー・ロボット、それにワークと呼ばれる用途別の形をした作業ロボットが1体乗り込んだ。2台目には、3名の新人ポリスと4体の警護用ガード・ロボット、2体のワーク。そして最後の車に、私たち3名の報道記者(ぽつんと取り残された格好になったので、互いに同業者であることがわかった)が乗り込んだ。3台の車はなめらかに発進すると、それぞれ別の方角に向かって走り出した。
「旅はいかがでしたか?」
 男女どちらともとれるような特徴に乏しい音声で、車が話しかけた。正確にいえば、車に内蔵されたコンピュータが、であるが…。ようするに三流どころの迎客用に、人手どころかロボットの手間さえ省くため、自動運転に切り替えた車を差し向けたというわけだ。












■実はこのあとの本文内で、関東地方の大地震と原発事故の描写を予定していたが、
さすがにこれは不吉すぎると思って、フランスの原発事故に書き換えたという経緯が
ある(ノ_-;) サルコジさん、ごめん。

【広範囲にわたる地域の人々もまた住み慣れた土地を追われ、子々孫々に至るまで痛ましい放射線障害に苦しまなければならなかったのである。
 石油文明による急激な環境破壊によって、それ以前まででも十分に疲弊していた地球は、新たな化学物質や遺伝子組み換え実験、そして原発事故によるほぼ全域の放射能汚染などで自然本来の生態系を狂わされ、もはや末期的な症状を呈していた。加えてエイズ以上の強力な感染症の登場である。世界規模で高まりつつあったエコロジー運動も、恐ろしい勢いで加速する汚染や破壊を食い止めることはできなかった。
 結局人類は、生き延びるために宇宙への移住を選択した。だがその選択と実行がどのようになされたのか、私たちは知らない。歴史としての記述がないからである。ただ事実として、一部の優秀な人類(パーソン)が新地球(テラ)へ移住し、残された人々(ボディ)が今もなお旧地球(ガイア)で細々と生き永らえている、と学んだだけだった。日常的には、新地球のことを「パラダイス」と呼ぶのに対して、旧地球は「ピット」と蔑称される。ピットには、地獄とかゴミ捨て場という意味があるのだ。】


■自分が過去に書いた小説とはいえ、ため息がでるほど暗い内容だわ(-"-;)
これでは嫌がられるはずだ。
しかし、実際の自分自身が同じような世界に生きる羽目になろうとは…。
小説の結末は? ううう、怖くて言えんわ。
でも巡航スペースシップの名前の「ピトス」というのがパンドラがあけた甕(かめ)
(本来は箱ではなく、甕)の名前でもあるように、今回の大災害も、日本や世界の
英知と努力を合わせれば、必ずや希望を見出せると思う。そう思いたい。






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