FC2ブログ
激動する社会の波におぼれずに、自分の頭で考え 行動しようじゃないの。 命令されるのなんか 大嫌い。「群れない、媚びない、とんでもない」の猫の精神でがんばっていきまっしょい。
 屹立せよ
2006年04月26日 (水) | 編集 |
■まだ荷をほどかないままになっていた書籍類を整理していたら、本の隙間から小さな紙がひらりと落ちた。拾い上げると、茨木のり子さんの詩「自分の感受性くらい」が設問になった小論文テストの用紙だった。
茨木さんといえば、2月に79才で亡くなったばかりだ。最後の日までしなやかで、かつ孤高の精神を貫き通したみごとな生涯だったという。
私の好きなその詩を、自戒の意味もこめて記す。




   自分の感受性くらい


ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ




■茨木さんはまた、湯河原に程近い根府川を舞台にした詩も綴っている。東京駅から東海道線の普通列車に乗って、品川、横浜、茅ヶ崎と辿って小田原駅を過ぎると、早川、根府川、真鶴そして湯河原になる。その次が熱海だ。根府川駅は木造りの駅舎で、東海道線唯一の無人駅でもある。



     根府川の海


根府川
東海道の小駅
赤いカンナの咲いている駅

たつぷり栄養のある
大きな花の向うに
いつもまつさおな海がひろがつていた

中尉との恋の話をきかされながら
友と二人こゝを通ったことがあつた

あふれるような青春を
リュックにつめこみ
動員令をポケツトにゆられていつたこともある

燃えさかる東京をあとに
ネーブルの花の白かつたふるさとへ
たどりつくときも
あなたは在つた

丈高いカンナの花よ
おだやかな相模の海よ

沖に光る波のひとひら
あゝそんなかゞやきに似た十代の歳月
風船のように消えた
無知で純粋で徒労だつた歳月
うしなわれたたつた一つの海賊箱

ほつそりと
蒼く
国をだきしめて
眉をあげていた
菜ツパ服時代の小さいあたしを
根府川の海よ
忘れはしないだろう?

女の年輪をましながら
ふたゝび私は通過する
あれから八年
ひたすらに不敵なこゝろを育て

海よ

あなたのように
あらぬ方を眺めながら……

     
スポンサーサイト





コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
茨木のり子さん=詩人 (読売新聞) - goo ニュース戦後の日本を鋭い批評精神と自立した知性で見つめてきた詩人の茨木のり子(いばらぎ・のりこ、本名・三浦のり子=みうら・のりこ)さんが19日、東京都西東京市内の自宅で亡くなっているのが見つかった。79歳だった。  
2006/04/28(金) 15:40:44 | ピリカラ納豆・甘納豆