
■今年4月、ひとり親の生活保護世帯に支給されてきた「母子加算」が全廃された。
その復活を求める声が強まったのを受けて、民主、共産、社民、国民新の野党4党が
母子加算を復活させる生活保護法改正案と父子家庭にも手当を支給する児童扶養手当
法改正案を参院に提出。昨日26日に可決されて衆院に送られた。
しかしながら自公与党は法案に反対で、審議の見通しは立っていない。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090627ddm005010025000c.html (毎日新聞)
■金持ちや大企業のための政治や法律作りをしてきた自民党政権+霞ヶ関官僚によって、
弱い者はさらに搾取され、絶望の淵へと追いやられている。
この母子加算の廃止など、その最たるものだ。
生まれてからこの方、生活の苦労などしたことのない世襲議員やエリート官僚たちに、
追いつめられた弱者の苦しみや悲しみなどわかるはずがない。
いやたとえ苦労知らずでも、他人の苦しみに少しでも共感できる心があれば、このような
無慈悲な施策などできないだろう。
困窮しているひとり親の現状を記した新聞記事の一部を転記する。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009062402000057.html
『廃止で子どもの貧困拡大』 母子加算復活論強まる 4野党が法案
(前略)
働けないのに…就労促進費減額
「生活の不安から、高校二年の長男が学校を辞めて定時制に入ろうか悩んでいる。母子加算を戻してほしい」
新潟県長岡市で、中学と高校生の子ども三人と暮らす茅野寿子さん(40)は、二十二日に衆院議員会館で開かれた民主党の集会で窮状を訴えた。
茅野さんは工場で働いていたが、うつ病で働けない日が増えて収入が激減した。昨年七月から不足分の生活保護を受けていたが、不況で今年三月に解雇されたため、さらに収入が減少。「ひとり親世帯就労促進費」は月一万円から五千円に減らされた。働くことを奨励するために支給される制度だから、就労収入が三万円を下回ると五千円になる。
食べ盛りの子どもの食費はかさみ、休日は二食のことも。髪は家で切り、服は近所の子どものお下がりだ。
茅野さんは先月、母子加算廃止取り消しを求めて県に審査請求。「長男は修学旅行に行かないと言っている。高校は卒業させないと、将来が狭まってしまう」と訴える。
小学生の娘二人を持つ埼玉県の母親(46)も「母子加算削減は働けない母親には本当に痛手」と話す。フルタイムで働いていたが、夫の暴力などで十年ほど前にうつ病になった。
パートで働きながら不足分の生活保護を受けてきたが、現在は体調を崩して休業中。「ひとり親世帯就労促進費」は受けられない。「働けないから罰を与えられている気がする」と肩を落とした。
■上記の東京新聞の解説 生活保護の母子加算
【1949年、母子世帯の追加的な飲食物費として創設。日常生活に使う生活扶助として、
18歳以下の子どもと一人親の家庭に上乗せ支給された。
小泉政権下の「骨太の方針2003」で廃止の検討が始まり、社会保障費の年2200億円
抑制を打ち出した「骨太06」も踏襲。16歳以上は07年、15歳以下は09年に全廃された。
現在生活保護を受けている母子世帯は約10万世帯で、野党は母子加算復活には
年間約180億円が必要としている。】
■さらに腹立たしいことに、母子加算を廃止した根拠が薄弱で、まったく意味をなさないのだ。
こんなおかしなことがまかり通っていいものだろうか。いや、断じて許せない。
いい加減な根拠で全廃され、どれだけ多くの家庭が貧困にさらされているか、与党は現実を
しっかり直視してほしい。

http://www.asahi.com/politics/update/0623/TKY200906230039.html
母子加算全廃の根拠資料 政府「統計的意味確認できず」
厚生労働省が4月に生活保護の母子加算を全廃した根拠の一つとしていた調査について、政府は22日、「資料の数値が統計的に有意なものであるかどうか確認できない」とする答弁書を閣議決定した。山井和則衆院議員(民主)の質問主意書に対する答弁書。
この調査は、6万世帯を対象とした全国消費実態調査(99年度)から母子世帯を抽出して集計。一般の母子世帯の食費や光熱費などの消費支出額が、母子加算を加えた生活扶助基準を下回ったため、加算廃止につながった。
答弁書では、消費実態調査を用いたことは「最も詳細かつ最大規模の調査で、使用したことは適切」と認定。ただ、加算廃止の根拠とされる部分の分析対象は32サンプルにとどまる>。関連資料が法令に従い廃棄されたこともあり、答弁書は、現存する資料では統計的な意味があるか確認できないとした。
また、抽出調査では、子ども2人の世帯の方が子ども1人の世帯より消費支出が少なくなっていた部分もあったが、理由については、「詳細な分析が困難で、お答えすることは困難」としている。
■こんなにいい加減な根拠とは!
民主党の鳩山代表は本日、政権交代を果たしたあかつきには、「アニメの殿堂」の代わりに
「母子加算」を復活させると語った。
もう一刻も早く、弱者切捨ての無慈悲な政治は終わりにしてほしい。
そのためにも国民の力を結集して、政権交代を実現しなくてはならない。

http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009062701000453.html
鳩山代表、補正の未執行分凍結へ 「政権獲得した場合」
民主党の鳩山由紀夫代表は27日午後、札幌市の集会であいさつし、衆院選後に政権獲得した場合、歳出総額が約14兆円に上る2009年度補正予算の未執行分を凍結する方針を表明した。凍結分を民主党が政権公約に掲げた主要政策の財源に振り替える考え。
鳩山氏は「もうすでにスタートした分は難しいが、無駄なものには歯止めをかける」とした上で「社会的に困っている人のために大事な予算を使う」と強調した。
具体例には「アニメの殿堂」と批判される「国立メディア芸術総合センター」(仮称)事業を取りやめ、生活保護を受給している母子家庭に対する母子加算復活を挙げた。
