2009年01月13日 (火) | 編集 |

映画『パレスチナ1948 NAKBA(ナクバ)』
■パレスチナおよび広く中東に関しては、これまで西欧的な視点から語られることが多かった。
私がパレスチナについて意識したのは高校1年の時だ。
隣りのクラスの友人が「イスラエルの共同体キブツは素晴らしい。私も行ってみたい」と熱意をこめて言うのを聞いて、「キブツが理想の社会だとは思わない」と反論したのを覚えている。
特に確たる論拠はなかったが、小学生の頃にアラブの切手を集めていたので、英仏の策略によって強引に建国されたイスラエル自体が胡散臭いと感じていたのだ。
そして高校を卒業する頃にはPLOに共感するようになっていた。

左:広河隆一『パレスチナ 新版』(岩波新書)
右:土井敏邦『パレスチナ ジェニンの人々は語る』(岩波ブックレット)
■パレスチナ・イスラエル問題についてその歴史から現在に至るまでを把握するには、広河氏の上記の著書が適切だ。以前は同氏の『パレスチナ』というタイトルのものを持っていたが、その後現在の『新版』が出た。
右のブックレットは、02年4月にイスラエル軍によってパレスチナのジェニン難民キャンプが破壊尽くされた事実をレポートしたもの。難民キャンプはイスラエルのミサイルで破壊され、多くの人々が瓦礫の下に埋まった。そしてその瓦礫の上をブルドーザーが踏み潰していったのだ。
だが国連は証拠なしとして、500人もが殺されたジェニンの「虐殺」はなかったという報告書を出した。
■また広河氏の初監督ドキュメンタリー映画が『パレスチナ1948 NAKBA』である。
著書『パレスチナ 新版』の「あとがき」にはこう記されている。
【今から54年前の1948年のイスラエル独立とパレスチナ難民発生の日を、パレスチナ人はナクバ(大破局)と呼んでいる】
goo映画の作品解説より
【2006年、フォトジャーナリストとして活躍する広河隆一は、1967年に暮らしていたイスラエルを再訪する。かつてそこで見た廃墟、それはパレスチナ人が暮らしていた村の跡だった。イスラエルが建国された1948年、多くの村が破壊され、廃墟と化した。広河はその時起きた「民族浄化」の真実を知るために、さまざまな人々にインタビューを試みる。ホロコーストから逃れたユダヤ人たちが起こした虐殺の連鎖。そしてそれは今も続いていた。
タイトルの「NAKBA」とは、パレスチナ人が呼ぶ言葉で、「大惨事」という意味だという。フォトジャーナリストの広河隆一が、その道へ入る原点となったイスラエルのキブツ農場で目にした村の廃墟。それはパレスチナ住民を追い出して、破壊したものだった。第二次世界大戦中、民族浄化の標的となり、数百万人が命を落としたユダヤ人たちだが、イスラエルでは自分たちが民族浄化を行う側に回る。虐げられていた側が一転して虐待する側に回るという事にやりきれなさを感じる。憎しみは憎しみを生み、終わることない報復の連鎖になるが、それは他人事ではない。パレスチナでは今も続いているし、これからもどこかで(日本でも)起こりえる事なのだ。】
映画の公式サイト http://nakba.jp/

左:アミン・ マアルーフ『アラブが見た十字軍』(ちくま学芸文庫)
右:イギリスのテレビ映画『ロレンス1918』(1991年)
■世界史では必ず十字軍について習うが、これもあくまで西欧的目線からの記述で、野蛮なアラブ(イスラム)を退治するといった内容だ。しかし史実は片方のみの見方では本質がわからない。十字軍について侵略される側のアラブから見て初めて、事の真実が浮かび上がってくるのだ。
第一次大戦後の英米によるアラブ分割統治を裏から担ったのが、「アラビアのロレンス」ことT・E・ロレンスである。
映画ではアカデミー賞受賞の大作『アラビアのロレンス』が有名だが、私はテレビ用の映画『ロレンス1918』(原題:A DANGEROUS MAN LAWRENNCE AFTER ARABIA)の方が好きだ。主役はレイフ・ファインズ。大戦後のパリ講和会議でのやり取りがじっくり描かれている。
おまけは、上の『サラディンの日』。『エロイカより愛をこめて』の青池保子のマンガ作品だ。
サラディンとは反十字軍のイスラムの英雄サラーフッ・ディーン。
ストーリーはイスラムではなく聖堂騎士団やテンプル騎士団、ヨハネ騎士団といった十字軍側から描かれているが、当時の歴史や戦いの様子が詳しくわかって実に面白い。
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