
■果敢に政治主導を試みた鳩山民主党は、官僚制の厚い壁に阻まれ崩壊した。
代わって政権の座に着いた菅首相は意図的にか、あるいは巧妙な罠にはまってか
より強力な官僚主導の政治を展開しようとしている。
■もうずいぶん前になるが、かつてゼミの教授にこんなことを教わった。
「1945年の敗戦でつぶされたのは、地主と軍隊、これだけだった。
官僚制度は残された。そして儒教的な上下関係も残された。日本はいったいこれから
どうなるのか、私たちはどのように生きていけばよいのかを考えるとき、敗戦時に
導入されなかった“新しい個の思想”を主体的に実現させていくためにも、信仰や
信頼関係をお互いに作っていかねばならないと思う」
米国によって、戦後も意図的に残された官僚制。
その後も今に至るまで、日本の政治や社会を動かしているのはその官僚である。
この官僚支配に対抗するには、「新しい個」すなわち私たち国民一人ひとりが自立し
政治的に覚醒しなければいけない。
そして分断された社会の絆を取り戻し、鳩山氏が掲げた「新しい公共」をつむいでいく
必要があるのだ。
■道のりは険しい。
今度のような裏切りや落とし穴が、行く手にはまだいくつも待ち受けているだろう。
しかし、今は亡き教授はこうも語った。
「明日の天気は変えられないが、明日の日本は変えられる」と。

■世界は今や、自由主義経済から国家資本主義へと流れを変えている。
日本は内向きの争いで終始し、こうした潮流から遅れを取っていいのか。
以下、フォーサイトのインタビュー記事の一部を覚え書きとして転載する。
インタビューの相手は、「世界の注目のリーダー10人」や「世界10大リスク」を
発表したあの「ユーラシア・グループ」の代表イアン・ブレマー氏である。
■インタビュー 「国家資本主義」の政治リスクを見極めよ 5月25日
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/pre/2010/05/114.html
「独裁」は終わっていない
冷戦が終わった時、「民主主義は勝利し、独裁主義は終わった。国家の役割は終わり、自由主義経済の時代が来たのだ」と叫んだ人たちがいました。だが、冷戦は終わろうとも、独裁は終わっていない。急激に経済発展し、今や世界第2の経済大国になろうとしている中国を筆頭に、ロシア、サウジアラビア、イラン、ベネズエラといった産油国で権威主義が続いている。こうした国々では企業活動よりも、国家が何をどう決めて行動するかの方が大きな意味を持っている。
これこそが、いま最も重要な問題だと言えるでしょう。
私たちは、政府、とりわけ独裁的な政府が、いかなる経済運営をしようとしているのかを見極める必要があります。5月に『The End of the Free Market -- Who Wins the War Between States and Corporations?(自由市場の終わり 国家と企業の戦いを制するのは誰か?)』という本を刊行しましたが、まさにこれがテーマです。
30年ほど前、 OPEC(石油輸出国機構)加盟国の国営石油会社が隆盛したのを源流に、この20年は中国、インド、ロシア、ブラジルが急成長したのを第2の波として、国家資本主義が広がってきた。そして第3の波が、この5年ほどで存在感を増した政府系ファンドです。資本主義とはいえ、国家資本主義は、企業が利益の最大化を目的に行動する自由主義経済とは本質的に違う。国家資本主義の目的は自国と政権の安定であり、国民の心を惹きつけること。
自由主義経済との衝突
そして、自由主義経済と国家資本主義という本質的に異なる2つの文化がいま衝突しようとしている。2009年末にデンマークのコペンハーゲンで開かれた COP15(国連気候変動枠組条約第15回締約国会議)で先進国と途上国が鋭く対立したのもこの現れだし、グーグルと中国政府の摩擦も同様です。
日本とヨーロッパは国内・域内の問題処理に手一杯で気付く暇もないかもしれないけれど、世界金融危機以降のこの1年半、世界は大きく変わった。第2次世界大戦以降最大の変化と言っていいほどの変化が世界を包んでいるのです。
かつてのG7(主要先進7カ国会議)はG20に取って代わられ、途上国は会議に出席できるだけでなく、先進国の思惑に「ノー」を突きつけることができるようになった。こうした急成長を遂げる国家資本主義の台頭こそが、私たちすべての生活に直接影響を及ぼす大きな変化の波なのです。
もはやアメリカ一国がルールを決めることはできないし、他の国はアメリカの意向を丸呑みする必要もない。これは本当に大きな変化です。従って、今後、国家資本主義の国がどう動くか、その政治的リスクは何なのかを知っておくことがどれほど重要かは明らかでしょう。

■あまりの蒸し暑さに辟易しながら、気になった新聞記事3本をまとめてドーン

その1
国民の信託を受けた衆院選マニフェストをことごとくくつがえす菅内閣を小沢氏が批判。
よく言ってくれた。胸のつかえが取れるようだ。
小沢氏の言葉は当たり前の正論なのに、また独裁だとか言いつのるのだろうな、メディアは。
http://stamen.iza.ne.jp/blog/trackback/1674953
消費税は4年間上げない、徹底した無駄の削減、高速道路の無料化、子ども手当満額支給、
農業の戸別所得補償制度などなど、ヘッドが変わろうが基本公約はきっちり守るべきだ。
何はなくても「国民の生活が第一」。これにつきる。
ぜひ「小沢内閣」を実現してほしい。

http://www.47news.jp/CN/201006/CN2010062801000482.html
小沢前幹事長が公約修正を批判 子ども手当「私が実現」
民主党の小沢一郎前幹事長は28日午後、子ども手当支給などをめぐり衆院選マニフェスト(政権公約)を見直した党執行部を厳しく批判、「必ず私が微力を尽くし、約束通り実現できるようにする」と明言した。消費税引き上げ論議にも疑問を投げかけており、野党側から民主党内の不一致を追及する声が出るのは必至だ。
小沢氏は参院選応援のため訪れた愛媛県今治市での会合で、財源難を理由にした公約修正に対し「政権を取ったら、カネがないからできませんなんて、こんなばかなことあるか」と指摘。同時に「高速道路の無料化、子ども手当、(農業の戸別)所得補償制度などを昨年の総選挙で国民に約束して、多数の議席をもらった。約束したことを守るのが政治だ」と強調した。
一方、菅直人首相が「消費税10%」に言及したことには「どういう考えで話したのか分からないが、(衆院)選挙で4年間は上げないと言った。一生懸命無駄を省き、最終的に4年たって社会保障費などがどうしても足りない場合は検討しなければならない」と、無駄削減を優先すべきだとの考えを示した。
その2
同じ幹事長というのに、新旧ではこうも資質が違うのか。
枝野幹事長はこれからが勝負というこの肝心な時期に、負けたときは「みんなの党」や
立ち枯れ、じゃない「たちあがれ日本」などとの連携も考えていると発言。
負けを前提に発言するとは党幹事長として言語道断だ。
本来、これは野党の発言でしょ。
おまけに「みんなの党」の渡辺代表から、「顔を洗って出直してきなさい」と馬鹿にされて
しまったし。あ~あ


http://www.47news.jp/news/2010/06/post_20100628194804.html
民主、野党へ秋波 ねじれ想定、みんなの党狙い
民主党が参院選での与党過半数割れによる「ねじれ国会」再現に備え、野党陣営に連携を誘う秋波を送り始めた。「連立組み替え」から政策ごとの「部分連合」まで想定されるが、第一のターゲットはみんなの党のようだ。ただ国会乗り切りのための単なる「数合わせ」であれば、民主党内外から反発を受けそうだ。「どこかの党首とは私も知らない仲ではない。言っていること、やろうとしていることはほとんど一緒だ」。枝野幸男幹事長は28日、川崎市内の街頭演説で、渡辺喜美みんなの党代表との協調に期待をにじませた。枝野氏は27日も「行政刷新ではみんなの党、財政健全化ではたちあがれ日本、労働(問題)では社民党と考えは近い」と指摘した。
参院選の序盤情勢をめぐる共同通信など報道各社の世論調査で、与党の過半数確保が微妙との結果が出たことが背景にある。衆院で圧倒的多数をおさえる民主党だが、参院で与野党勢力の逆転を許せば、自民、公明連立政権時のように法案審議が滞る事態が予想されるためだ。
菅直人首相も訪問先のカナダで日本時間の27日、記者団に「野党の立場でねじれを経験してきた。他党といろんな形で話し合うことは必要だ」と表明した。
その3
一方、サミット初デビューで舞い上がったのか、菅首相は「言いまつがい」の連発。
麻生タローちゃんの再来かっ

特に他国の首脳の名前を間違うなんて最悪だ。
経済オンチだけでなく、一国の首相という自覚が薄いヘタレぶりにガックリだわ。
それにしても、これほど頭が悪いとは…(;д;)

http://www.asahi.com/politics/update/0628/TKY201006280319.html
新興国は「緊急の会社」? 菅首相、言い間違い連発
【トロント(カナダ)=西山公隆】新興国は「緊急の会社」? 菅直人首相が27日午後(日本時間28日午前)、トロント市内で開かれた国内外の記者を対象にした会見で、言い間違いを連発した。
菅首相は、インド、ベトナム、インドネシアの首脳との会談の内容を日本語で紹介した際、こうした経済成長が著しい新興国を意味する「エマージング・カントリー」と言うべきところを、「エマージェンシー・カンパニー」(緊急の会社)と言ってしまった。また、「G8(主要国首脳会議)」を「G7」と発言。さらに、ロシアのメドベージェフ大統領を「メドメージェフ」、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領を「イ・ミョンビャク」と言い間違えた。
この日は首相就任後初の外遊の最終日。しかも、3日間で10人近い首脳と会談しており、首相周辺の一人は「疲れがたまっていたうえに、混乱したんだろう」とおもんぱかった。


6月23日、オバマ米大統領は、同政権高官を批判した
アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官を解任。
写真は記者会見する同大統領(左)と後任のペトレアス中央軍司令官(右)。
ホワイトハウスで撮影(2010年 ロイター/Larry Downing)
■懐かしのあのマクリスタル司令官(^^; が解任されたというので、この話題など。
クリスタル硝子のような名前のこの司令官は、去年9月にも「アフガニスタンには
アルカイダがいる兆候はない」などと本音をバラして騒ぎになった人物だ。

http://tekcat.blog21.fc2.com/blog-date-20090924.html
■さてアフガンの米軍は来年7月に迫った撤退に向けて、南部のカンダハル州で
タリバン掃討作戦を行うと前々から予告していたが、マクリスタル司令官が要求して
いた兵力の増派もかなわないまま、この「カンダハル作戦」はずるずると先送りに
なっている状況である。
つい先頃にも、マクリスタル司令官関連のこんなニュースが報じられたばかりだ。

http://www.cnn.co.jp/world/AIC201006140014.html
米・アフガン、タリバーン掃討作戦で地元指導者を説得
カブール(CNN)アフガニスタンのカルザイ大統領とアフガン駐留米軍のトップ、マクリスタル国際治安支援部隊(ISAF)司令官は13日、南部カンダハル州で地元の部族指導者らを集めた会合を開き、同州で計画している反政府武装勢力タリバーンの掃討作戦への理解を訴えた。両氏は指導者の支持を取り付けたとの認識を示して
いる。
マクリスタル司令官が、カルザイ大統領と治安責任者らを同州へ案内した。大統領は部族指導者約300人の前で、治安回復と汚職排除への熱意を語った。またタリバーン戦闘員に「平和」を呼び掛け、「同胞や子どもたち、罪のない人々を殺してはならない。(国際テロ組織)アルカイダやテロリストから離れてほしい」と述べた。
同州はタリバーンの本拠地となっている。今春カルザイ大統領が別の作戦案を打ち出し、地元に拒否された経緯がある。マクリスタル司令官は「過去の経験から、作戦を成功させるためには事前に部族指導者らの同意を得ることが必須だとの教訓を得た」と述べた。
会場で耳を傾けた指導者らからは、カルザイ大統領の作戦実行能力を疑問視する声が上がる一方、「大統領は支持するが、米国の関与は認めない」といった意見も出た。
カルザイ大統領は作戦開始の時期を明言していない。作戦はアフガン軍が主導し、米軍は補助に回るとも伝えられている。
■当初は8月までにアフガンの駐留兵力を3万人増派して、そのほとんどを
カンダハルに展開させる計画だったが、冬までに実施できるかも見通しが立って
いない。
その最大のネックが、カルザイ大統領の弟アフマド・ワリ・カルザイの存在だ。
カンダハルの実力者でこの地方に精通しているアフマドの協力なくしては作戦の遂行は
難しいが、この弟ときたらCIAとつるんで麻薬で儲けてきたワルで、この男と組んで
マクリスタルが作戦を実行しようにも、上の記事にあるように地元の部族指導者らの
支持をとりつけるのは難しいのではないかと懸念されているから、どっちみち作戦が成功
する見込みは薄いだろう。
オバマ大統領も直接カブールに出向いてカルザイ大統領に弟をどうにかしろ、政権の腐敗
防止にまじめに取り組めと説得を試みたが、どうやら徒労に終わったようだ。
とはいえ実際になぜオバマがカルザイに直接会いに行ったのか、また何を話したのかは
報道内容とは多少違うのかもしれないが…。
そして今回の解任劇である。

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-15973920100624
オバマ米大統領、政権批判のアフガン駐留司令官を解任
[ワシントン 23日 ロイター] アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官が米誌でオバマ政権高官を批判した問題で、オバマ大統領は23日、同司令官を解任し、後任にペトレアス中央軍司令官を起用すると発表した。
オバマ大統領はこの日、アフガニスタンから召還したマクリスタル氏とホワイトハウスで会談し、ローリング・ストーン誌が掲載した政権高官への批判について直接聴取。同氏が提出した辞表を受け入れたという。
会談後に記者会見したオバマ大統領は、「記事に象徴されるような行動は、司令官が示すべき規範に合致しない」とした上で、マクリスタル氏の発言を「民主主義の核となる軍の文民統制を傷つける」と非難した。
マクリスタル氏は、米軍と北大西洋条約機構(NATO)軍のアフガン駐留部隊を指揮し、カルザイ大統領との結び付きも深かったが、就任から1年での解任となった。
■しかしながらこれまでの一連の動きを見ていると、どうも既存の報道を鵜呑みに
していては、ことの本質が見えてこないのではないという気がする。
日本のメディアと同様、記事が誰の視点に立って書かれているのかを吟味しないと
判断を誤ってしまうからだ。
米軍は今年初め、カンダハル作戦の前にマルジャ攻撃をしたが、民間人の被害も大きく
カンダハルも同じような甚大な被害にあうのではないかと部族指導者が心配して、
カルザイ大統領に作戦の中止を請願した。
欧米からワルの烙印を押されている弟にしろ、自国の惨状を前にすれば心情的に
タリバンへ傾斜するのが自然である。
またカルザイ大統領は、選挙や国内政治を立て直す際にこれ以上外国の圧力を
受け続けるなら「私はタリバンに加わるかもしれない」と2度も発言した。
米国はカルザイが神経衰弱にかかっているなどと報じてこの発言を封じてしまったが、
これは今回のマクリスタル司令官の唐突な解任と、どこか似ているのではないだろうか。
いかにも取ってつけたような理由の解任で、不可解に思えるからだ。
■日本の政界でも米国からの独立派と対米従属派が対立しているように、米国でも
タリバンとの和解を模索するオバマ派と戦争推進派のクリントンやゲーツ派が対立し、
互いにしのぎを削っているのだろう。
この点を加味して改めてアフガンやイラク情勢を見直してみると、今までとは違った
側面が見えてきて興味深い。
この先、本当にアフガンからの撤退が成功するのか、それとも泥沼にはまって米国の
さらなる衰退が加速するのか、日米関係のあり方にも深くかかわってくる問題なので
これからも米国の動向を注視していきたい。

■日々の中で注目した記事や本、映画などがあっても、時間的な制約などから
ブログに書けないままペンディングにしているものが少なくない。
そんなものの中から、本日はアナーキズム関連本が売れているという話題を紹介したい。
ちょうど1年前の朝日新聞の記事だが、私自身の覚え書きという意味でも以下に転載する。





■朝日新聞 09年6月11日
http://book.asahi.com/clip/TKY200906110157.html
アナーキズム再び、つながり求め新たな運動
アナーキズム(無政府主義)と聞いて何を思い浮かべるだろう。時代遅れの暴力革命家か、それとも未来にユートピアを託す夢想家か。いずれにせよ非現実的な空理空論として、長い間「忘れられた思想」とされてきたアナーキズムをめぐる人文書の刊行が続いている。新しい「つながり」を求める運動として期待されているようだ。
アナーキズムは19世紀半ばから20世紀前半、マルクス主義と並ぶ社会変革思想の一大潮流だった。個人の自由に立脚しながら、党や国家をはじめあらゆる権威を否定した。この時期の代表的思想家であるプルードンやクロポトキンの著作が今春、相次いで新刊として出版されている。一方で、「新しいアナーキズム」を掲げるものも目立つ。
その代表が、ロンドン大学のデビッド・グレーバー准教授による『資本主義後の世界のために 新しいアナーキズムの視座』(以文社)だ。5月に開かれた歴史学研究会大会の近代史部会では「帝国秩序とアナーキズムの形成」がテーマとされ、報告者はいずれもグレーバー氏に言及した。人類学者で、反グローバリゼーション活動家でもあるグレーバー氏は、人類の共同体が古くからアナーキズム的な原理を備えていたとして、自身が参加した運動の組織論に、その復活を見いだした。
99年にシアトルで起きた反WTO(世界貿易機関)デモ以来、世界的に広がった反グローバリゼーション運動は、自律や相互扶助を基本にしていた。それらは、アナーキズムの行動原理であり、既存の労働運動とは別の新しい潮流が生まれた。
「理論よりも経験や倫理に重点を置くアナーキズムが見直されているのでは」とみるのは、『チョムスキーの「アナキズム論」』(明石書店)を翻訳した木下ちがや氏だ。
かつて日本で資本主義が興りグローバル化の波が押し寄せた明治末から大正にかけ、アナーキズムは一時マルクス主義をしのぐほどの影響力があった。だが、ロシア革命や福祉国家の成立で、国家の存在感が極大化するに従い衰退した。その後、ソ連が消滅し、新自由主義による「小さな政府」が一般化。福祉国家への期待は遠のき、労働運動も停滞した。そんな中で「新たなつながり」の思想として期待されているというのだ。
アナーキズムは、現実的な選択肢たりうるのか。梅森直之早稲田大学教授(日本政治思想史)は「すぐに実現するということではないが、今の資本主義秩序とは違う人間の働き方がありうるのを示すことに意義がある」という。
『革命待望!』(芹沢一也氏らとの共著)でアナーキズムの可能性を論じた橋本努北海道大学准教授(社会哲学)も、その意義は近代批判にあるとみる。ただし「新自由主義は生きのびるために、アナーキズムの創造性さえ必要としており、逆説的だが両者が深いところでつながってしまっていることに注意が必要だ」と話す。
◆すでに社会の中にある
ニューヨーク在住の批評家、高祖岩三郎氏(54)は近刊『新しいアナキズムの系譜学』(河出書房新社)で、アナーキズムの歴史を再解釈しながら、多様な運動の継続的な組織化の必要性を問うている。高祖氏に話を聞いた。
――なぜアナーキズムに注目するのか。
「新左翼の崩壊した原因の一つは、階層序列による組織的な権威主義があったのではないか。新左翼がなぜうまくいかなかったかを考えていた90年代、米国でそれまでとは違う新し
い運動が出てきて、若い活動家たちが漠然と自分をアナーキストと呼んでいることに気づいたのです」
――従来の運動との違いは。
「アナーキズムは誰かが発明した思想ではありません。人類がもともと持っていた自律や相互扶助、直接民主主義という簡単な原理をもとにしたもの。この簡単なことが、99年のシアトル以降の反資本主義運動の決定的土台になったのです」
――アナーキズムは、資本主義への対抗軸になるか。
「大きな集団を想定したものではなく、信頼できる友人や仲間との人間関係を築きながら連帯していくという行動様式が基本。そうした関係のネットワークを国家の存在とは別に、二重権力のような形で広げていく。国家を倒して反国家の秩序を打ち立てるとか、西軍と東軍が関ケ原で激突するような図式ではもう考えない。現実化しえない理想かどうかより、すでに社会の中にそれはあるのです」(樋口大二)






ちょっと古い本ばかりだが、手持ちのアナキズム関連本。
私がアナキズムに興味を持ったのは
高校の授業でジョージ・オーウェルの作品を読んだのがきっかけである。
また世界史の参考書でネストル・マフノの名を見つけ
映画で「サッコとバンゼッティ事件」を知った。
そして同じ10代の終わり頃、新宿の紀伊国屋でヴォーリンの著作とも出会った。
アナキズムは、あらゆる権威とヒエラルキーを否定する。
そしてモラルと内面の自由を愛するのだ。
自由、平等、博愛(友愛)こそ、アナキズムの真髄だと私は考える。


街頭演説で、聴衆に手を振って応える菅直人首相(時事通信)
■間近に迫った参院選へ向けて菅首相が街頭演説でしゃべった内容とは…
「私も増税、増税なんて言いたくないんです。でも、ギリシャみたいになったとき、
だれが一番被害を被るでしょうか。
(ギリシャで)最初に行われたのは、年金と給料のカットなんですよ」
「これ以上借金に頼って、福祉や景気対策に充てていたら、ギリシャのように
財政が破綻します」
「これ以上借金頼りで景気対策に充てていたら、ギリシャのように財政が破綻して
予算、税率を決める権限もすべて外国任せになってしまいます」
■ギリシアみたいに財政破綻、財政破綻…と、演説のたびに引き合いに出される
ギリシアもいい迷惑だ。
しかしながらどういう基準で菅首相はギリシアを引き合いに出しているのだろう。
そもそもギリシアの借金の先は外国であるのに対して、日本の国債のほとんどは
国内保有で、実質的な借金の額も300兆円ほどにすぎない。
したがって菅首相の「予算、税率を決める権限もすべて外国任せになる」という言は
まったくもってトンチンカンな詭弁でしかない。
それにギリシアでは国民の20%強が公務員で(日本は5%と少ない)、仕事はしない
高額の年金は保証される、賄賂が横行、税金を払わない…などといった公務員による
原因で財政破綻が起こったのであって、そうしたギリシアと日本を同一視して考える
のはあまりに短絡的すぎる。
■菅首相は上のように「最初に行われたのは、年金と給料のカット」と、あたかも
日本の国民全員の年金と給料がカットされるかのように脅しをかけている。
しかしギリシア政府が取った措置は「公務員の賞与・給与支払いの30%削減と
年金の凍結」である。
このギリシアの公務員の年金・給料カットを日本国民の年金・給与カットにすりかえている
わけで、あまりにも姑息な脅しではないか。
またあくまでギリシアと日本を同一視するのなら、菅政権もギリシア政府と同じように、
まず日本の公務員給与も削減するのがスジではないだろうか。
「ギリシャみたいになったとき、だれが一番被害を被るでしょうか」って、それは年金・給与
を真っ先にカットされる公務員でしょうーが(^^;
■デフレなのに国民に増税をする、その税収で企業減税をする、公務員の給与カットは
しない、行政の無駄も深く追求しない。
財務相の甘言に乗った、こんな菅言にはだまされないぞ!
経済オンチの菅首相に、猫パンチだっ! ☆(゜o゜(○=(-_-○ ポカッ!


山梨県身延町の「ホタルの里」で遊説をする小沢一郎前幹事長(左)
=24日午後、山梨県身延町一色のホタルの里
(産経新聞・中鉢久美子撮影)
■本日24日参院選が公示され、小沢氏も輿石氏の応援のため山梨県を訪れた。
選挙運動にかぎらず営業でも勉強でも、基本に忠実にこつこつやる人が最終的に
よい結果を残すのは自明の理であるが、それをやり遂げるのが実は一番難しい。
私のようにあきっぽい三日坊主人間にとってはもっとも苦痛な行為であり
(だから何でも中途半端なのだが(^^;)、小沢氏の地道な運動方法には脱帽する
しかない。
もし政治家ではなく実業家になっていたとしても、小沢氏は名のある大きな企業
に育てていたことだろう。
■この山梨での記者団の質問に対して小沢氏は以下のように答えた。
「」の中は読売新聞より引用。
「3年前の参院選も昨年の衆院選も、『すぐ増税はしない。無駄を徹底的に省き、
財源を捻出(ねんしゅつ)する。それでも財源が不足する時は消費税の論議をする』
というのが我々の主張だった。(そうした認識は)変わっていない」
「政党は常に過半数を目標にするのが筋道だ」
■そう、私も「国民の生活が第一」を掲げる民主党に政権を託したのだ。
国民よりも大企業、官僚、米国を優先するような似非民主党員には、この選挙で
はっきり「ノー!」を突きつけよう。



虫歯による腫れが原因で、右頬の肉がごっそり剥離してしまった猫のギン。
傷跡は順調に回復中で、豆粒大になった傷がふさがれば
包帯を取って、新しくできた皮膚を乾かす段階に進めるそうだ。
抜歯した奥歯4本の傷はすっかり治ったので、ドライフードを食べる許可も出た。
苦労してずっと飲ませていた2種類の薬もようやく終わり、ホッと安堵。
というわけで、ケージから出して外が少し見えるキッチンの隅に移動した。
手前の柵は、犬のダイの進入禁止用。

上とこの2枚は、昨日病院から戻ってケージから出した直後のもの。
他の猫に比べてあまり喜怒哀楽を表に出さないギンだが
リラックスして手足を伸ばしている。
柵をすり抜けて器用にタンスの上に飛び乗ったりしていたので
この後、紙オムツをはずしてみた。
ギンもつらいだろうが、ペットのシモの世話は想像以上に大変だった

特にギンは毛が長いので、ウンチがべっとりくっついて
お湯で拭いてもなかなかうまく取りきれない。
私の手にも臭いがしみついて、これにはひどく悩まされた。
石鹸で何度洗っても臭いが残っているので、
最後は香りの強いブルガリの香水を手にかけてごまかした。

体が臭いままではかわいそうなので(他の猫たちも気にしてクンクン嗅いでいる)
病人用の大判ウエットティッシュで下半身を拭いてブラッシング。
気持ちがいいのかゴロゴロ喉を鳴らしている。
そしてきょうのお昼、思い切ってお風呂に入れた。
首から下を猫のシャンプーできれいに洗い、浴槽へ。
お風呂好きのギンはじっとお湯につかっている。
いつもより念入りに毛を拭いて、しばらくしてから見に行ったら
ちゃっかり私の布団の上に乗っていた。
おとなしくて一見ボーっとしたかんじの猫だが
けっこうたくましく生き抜いているギンなのであった(=^・^=)

■参院選挙が近いからか、民主党からハガキが届いた。
差出人は、民主党代表 菅直人。
裏側に菅代表の大きな写真。
「平素より、民主党をご支援いただき、ありがとうございます。
新代表就任にあたり、みなさまにご挨拶を申し上げます。
(中略)
何卒、みなさまのさらなるご支援、ご協力を賜りますよう、心より
お願い申し上げます。」
…って、あなたを支援した覚えはないけど…とつぶやいてみる(-_-;)
■組織ができれば、それがどんなに小さなものであっても仲間割れや権力闘争と
無縁でいることは難しい。
組織について考えるときに格好のモデルケースになるのが、幕末の「新選組」だ。
とはいえ語り始めると際限がなくなるので(^^; 今回は過去に放送したNHK大河
ドラマ『新選組!』の中から、なかなか含蓄のあるセリフを1つ。

■将軍警護のため京に上った浪士たちの一部は会津藩のお預かりとなり、「壬生浪士組」または「誠忠浪士組」という名前で市中警護に当たった。いうなれば最初から「小沢派」と「反小沢派」が混在した組織だったわけだ。
で2つの派閥は、後に「新選組」となる江戸・試衛館の近藤勇グループと水戸天狗党くずれの芹沢鴨グループ。
ところが筆頭局長の芹沢グループは素行が悪く、商家へ押し入って金を強要したり、花街で乱暴狼藉を働いたり。そこで京都守護職である会津藩主・松平容保は近藤、土方らに粛清を命じたのだった。
■以下は『新選組!』 第24話 「避けては通れぬ道」より
遠くから芹沢の姿を眺めている近藤に、同郷の井上源三郎がこう語りかける。
「人は2つに分けられます。
人の上に立つ者とそうでない者。
人の上に立ってはいけない人が人の上に立つというのは、実に不幸なことです。
しかしもっと不幸なのは、人の上に立たねばならぬ人が人の上にいないということ」
■もちろん史実と創作ドラマはまったくの別物であるが、「民主党代表 菅直人」の
名前で届いたハガキを見て、上のセリフがフッと頭をよぎったのだ。
民主党の誰が近藤グループで誰が芹沢グループかは、ご想像におまかせするが…(^^)


写真:リア・ノーボスチ通信(ロシア)
小型潜水艦ミール
メキシコ湾海底の修復はすでに不可能?
■昨日の続きなど。
しかしテレビはどの局もワールドカップと大相撲の野球賭博事件の話題ばかり。
さて6月10日のtwitterにこんな書き込みがあった。
【ロシアの海洋学研究所Anatoly Sagalevich研究員がクレムリンに提出した報告で、
メキシコ湾の海底の修復はすでに不可能と警告。
彼はBPに依頼されて深海調査のために現場海域に潜行した学者のひとり。
11キロにわたって海底が割れて18個所から1日約200万ガロンが流出中と。】
流出箇所が18もあったら絶望的じゃないかと、暗い気持ちでさらに詳しい内容が
知りたいと大元をたどると、どうやらここらしい。
「smilingcloud」 http://twitter.com/smilingcloud
■さらにしつこくたどっていくと、海外サイトに行き着いた。
Sorcha Faal(ソーチャ・ファール)という女性が最初にツィートしている。
上にあった「Anatoly Sagalevich研究員」とはロシアの潜水艇ミール(上の写真)の設計を
手がけたアナトリー・サガレビッチ博士のことで、プーチン首相も去年このミールでバイカル湖
に潜った。
私の以下のブログにも書いてある。

http://tekcat.blog21.fc2.com/blog-date-20090803.html
■しかしロシアの新聞には、ソーチャが書いているような内容の記事は見当たらない。
載っていたのは、映画『タイタニック』製作のとき、ジェームズ・キャメロン監督が
このミールを使って撮影した。その関係で今回の流出事故の調査に当たり、ミールを
使って手伝いたいと申し出たところ、キャメロン監督の申し出をBPが断ったという
記事だった。
そもそもソーチャという人物自体が怪しい。ガセネタも多いようだ。
とはいえ高名なサガレビッチ博士の名前を出しているので、まったくのガセと断定するのも
難しいところだ。
う~ん、悩むなあ(ー'`ー;)
実は初期の段階でミールが海底油井の具合を調査済みで、その結果は米国政府によって
封印されている、なあんて情報も漂っているし…。

写真:ロイター通信
オイル回収作業船と海上を覆う流出原油
核爆発による流出阻止案も浮上
■オバマ大統領やBPは秋頃をめどに流出を封じ込めるみたいなことを言っている。
もう1~2箇所掘削して、そこから残りの原油を吸い上げるという作戦らしいが
果たしてうまくいくのか、はなはだ心もとない。
もしこれも失敗したら、次に打つ手はあるのだろうか。
そんな折、とんでもない作戦が浮上していた。
ここまでくると、もう唖然とするしかない


http://www.asahi.com/international/update/0604/TKY201006040097.html?ref=reca
核兵器で原油流出阻止? アイデア浮上、米政府は否定
【ニューヨーク=勝田敏彦】米南部沖のメキシコ湾で続く原油流出で、核兵器で油田を封じ込めるという、とんでもないアイデアが取りざたされている。米政府は「検討したことなど一度もない」と全面否定するが、流出対策が次々に失敗に終わる中、ブログへの書き込みが相次ぐ。3日付の米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。
報道によると、このアイデアは、ガス田からのガス漏れを止めるため、旧ソ連が1966~81年、5回にわたって地下で核兵器を爆発させたとされる話に基づく。核爆発による高温で岩石が溶け、封じ込めができたという。
英紙テレグラフも5月、米国の核兵器開発の中心であるロスアラモス国立研究所の核関係の研究者が対策チームに加わったと報じていた。
しかし、放射能で原油より深刻な環境汚染を招く恐れがあるうえ、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准推進など「核なき世界」を目指すオバマ政権の政策と合わず、実現性はないとみられる。
米エネルギー省の広報担当者もニューヨーク・タイムズの取材に「チュー長官を始め省内の誰もそんなことを考えたことはない」と答えた。とはいえ、流出を止める決め手がないのは事実。海底の安全弁に泥などを注入して油井を封じ込めると期待された「トップキル」と呼ばれる作戦は5月末に失敗している。
米国は92年まで、千回以上核実験を行っている。

近い将来、石油も天然ガスも枯渇する
「地球温暖化の現状と対策」より
http://www.jnep.jp/test/1/1-16.html
「ピークオイル」説は本当に正しいのか?
■「ピークオイル」という言葉をよく耳にする。
近い将来、有限の化石燃料である石油と天然ガスの生産はピークに達し枯渇に転じる。
生産量のピークは2030年代あたりだ…というのが「ピークオイル」説である。
資源の乏しい日本にとってはまさに死活問題で、限りある資源を大切にの合言葉のもと、
大切な石油の確保のために、ひたすら覇権国アメリカへ追随することが国策となってきた。
■私たちはこれまで石油=化石燃料と習ってきた。
もちろん化石燃料は有限なのでいずれは枯渇する。
で、いつ枯渇するのかと恐れながら過ごしてきたわけだが、不思議なことにもう危ないかな
と心配するとなぜか古い油田が復活したり、新たな大規模油田が発見されたりするのだ(^^;
■それに爆発流出した「ディープウォーターホライゾン」の海底油田は、海洋地殻の深度部分
まで採掘したものである。深さは5000メートルを超えている。
海洋地殻の厚さは平均で約7000メートル。その下は上部マントルである。
先日アフガン戦争でカスピ海周辺国の石油事情について書いたばかりだが、その1つである
カザフスタンのカシャガン油田も超深度油井であり、従来は2000~3000メートルの
採掘を行っていたものが、今では1万メートル近くの深さまで掘削するのが普通になった。
■ここから何を言いたいのかというと、石油の成り立ちはこれまでの「生物由来(有機)説」
だけでなく、地球の深部における「無機成因説」も当てはまるのではないかということだ。
地球深くに大量に存在する炭化水素が高熱や高圧で変化し地表へ向けて上がってきて(岩石
よりも軽いため)油田を形成するとしたら、その量は無尽蔵ということになる。
そして最近の超深度石油掘削で得られる原油は、この無機的に生成されたものだとしたら?
もしそうだとしたら、世界のエネルギー事情はガラリと変わってしまうだろう。
「ピークオイル説」も成り立たなくなってしまう。
地球のマントルまで掘り進められる超深度掘削技術を持つ国が、世界の覇者に躍り出る。
資源がないといわれる日本の場合も、沿岸深く眠っている大量のメタンハイドレートを
安全に掘り出す技術さえ確立すれば、自前のエネルギー資源を手中にできるのだ。
■とはいえ石油の無機成因説は、今のところあくまで仮説でしかない。
もし本当ならば、メキシコ湾での流出は想像を超えてさらに膨大な量になるかもしれず、
8月どころかまだ何年も流出が続く危険がある。
そうしたらメキシコ湾どころか、米国東部、大西洋沿岸諸国までもが壊滅的な被害を
こうむるかもしれず、世界経済に及ぼす影響は、もう想像するだけでも恐ろしい

これが単なる妄想で終わることをひたすら祈るしかないが…。
