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 孫崎享氏「日本の思いやり予算があるから米軍基地は縮小できない」(朝日ニュースター「ニュースにだまされるな!」より)
2010年05月11日 (火) | 編集 |



 朝日ニュースター「ニュースにだまされるな!」
5月1日のテーマは「普天間問題の行方」




■久々にまともな討論番組を見た。
「ニュースにだまされるな!」は、ごくたまに興味のあるタイトルや出演者のときに
かぎって視聴しているが、今回は内容・出演メンバー共に申し分なく、同じ朝日系列の
「朝生!」とは雲泥の差であった(^^;

まずは、番組の冒頭から…。
普天間問題に関して日々流されているニュースって
こんなふうにおかしな疑問ばかり





   

「普天間県外移設」は愚の骨頂?
鳩山首相にアッと驚く腹案あり?
アメリカは辺野古以外認めない?





    

日本全国、米軍基地は受け入れない?
海兵隊は地域の抑止力として不可欠?
 




   

基地がないと沖縄経済は成り立たない?
アメリカは民主党政権に呆れている?
5月末未決着なら鳩山辞任は避けられず?








今回の出演メンバー
左から、司会の中村うさぎ(作家)、同じく司会の金子 勝(慶応大学教授)
伊波洋一(宜野湾市市長)、西崎文子(成蹊大学教授)
岡本 厚(「世界」編集長)、孫崎 享(元防衛大学校教授)




■いずれの出演者の発言内容もそれぞれ興味深くて、傾聴に値するものだったが
なにぶん番組が2時間と長く、全部を活字に起こすことは今の私にとってきついので
孫崎享(まごさき・うける)氏の発言に特化して記してみたい。
なお活字にする際に、読みやすくするため多少文体を改めた。







孫崎普天間問題は今、政局の問題になっている。
しかし一番重要なのは、普天間がどうあるべきかを考えること。その視点が欠けていると思う。
何を申し上げるかというと、1つは沖縄の人がこれだけ反対している中で、私はもう、沖縄県内での移設は無理だと思う。これを含めて、じゃあどうするのかという議論があるべきだと。
もう1つは在日米軍のあり方。
これは国際スタンダードからいくと、日本はものすごい持ち出しをやっている。
その持ち出しが普天間の過重負担になっている。
というようなことで、在日米軍のあり方も含めて、この5月末までというタイムリミットを設定すべき問題ではない。もっともっとじっくり腰を落ち着けて日米間で協議をして、落としどころを探すべきだ。
これを5月末というあまりに短期の問題設定をしていることが、普天間問題の解決を非常にややこしくし、日米同盟のあり方を歪んだ形で報じているのではないかと思っている。


金子:迷路に入ってしまうと問題の解決の道がなくなってしまう。
そもそもどこに、ボタンのかけ違いがあったのか。
もともと民主党はイラク戦争反対で、給油艦も引き上げた。
だから日米同盟体制の中でイラクに強力にコミットし始めるというのは、われわれにとっては1つの飛躍と感じられた。


孫崎:今日本がどのように軍事的に関わっていくかという問題と、沖縄の問題は関連している。
2005年の日米間の共通の文書、ここで共通の戦略で、世界の安全保障環境の改善のために日米が一緒に行くということを決めているが、これは日本の憲法のあり方とも違うし、それにもまして安保条約とも違う。
1960年の安保条約というのは、基本的には極東にしぼっていた。


金子:ところがそれを踏み越えている、2005年を境に。
自衛隊が極東を超えて、米国と協力して他も一緒にやるという。


孫崎:それだけではなくて、より重要なことは、じゃあ何をするかという問題で、国際安全保障環境の改善のために軍事行動を取ろうと言っている。
実は憲法でも国連憲章でも軍事力を使うというのは非常に限られていて、誰かが攻撃する、あるいは攻撃直前のときにおいて初めて軍事行動をしようと決めてきた。
それを一般国民がほとんど知らない2005年の文書で国際的な安全保障環境に貢献するということを決めた。
それが今、たとえばアメリカの国際的な動きがどうかというと、イラク戦争、アフガニスタン戦争だ。
そのアフガニスタン戦争も、何のためにやっているか非常にわかりにくい。
たぶん米国側も、何のために闘っているか明確に説明できないだろう。
こうしたものに日本が協力するような形をしている。
これはアメリカのサミュエルズだと思うが、日米同盟と在日米軍基地は世界戦略のために従来以上にコミットしていくと言っているから、この問題をどう見るかというのも重要だと思う。












金子:われわれが話し合って選択したのではなくて、小泉政権のときに、みんなアメリカについて行かなきゃということで、この表でいうと、2005年の境目があって、ここで日米両政府が米軍再編の最終合意をすると。
ちょうど国防長官がラムズフェルドで、不安定の弧――中東から南西アジアを通って、ずっと対テロ戦争で…。
そこまでを念頭に置いた米軍再編をしましょう、それに日本もつき合ってくださいと。
オバマ政権はイラク戦争反対で、中途半端にアフガニスタン戦争に介入すると。
軍との関係を悪くしないためにゲーツ国防長官をブッシュ政権から引き継いだ。
中途半端だけれど、オバマの意図としてこの戦争をどこまでも続けることにどれだけ意味があるのかということも、かなり怪しい。


孫崎:多くの人はオバマ大統領はかなりリベラルな考えを持っていて、軍事的な介入を取り下げるのではないかと期待もした。たぶんオバマ大統領は、そうした気持ちを持っているだろうと私は思う。
だけどあまりに今の安全保障の問題は、先ほど言われたように国防長官をそのまま据え置き、参謀総長もそのまま据え置くと、基本的にはブッシュ体制をそのまま維持している。だから米国の軍事戦略の大枠は変わらない。
その一環に世界戦略としてのアフガニスタン戦争があるから、残念ながらオバマ政権になっても大きな軍事的変革は今のところ見えていない。


金子:イラク戦争の中で日本は給油艦を撤退させた。
そうであるなら民主党は、少なくても一度はオバマ大統領に、われわれはそういう戦争体制には協力しない、少なくても元の安保条約の範囲に戻してくれと言うべきでは?


孫崎:私は民主党・鳩山政権になって、全体として見ると、非常に重要なメッセージを出しているのではないかとアメリカ側に伝えた。
1つはアメリカの世界戦略にどこまで組するのか。
回答の1つは、インド洋の給油艦を止めたことだ。
それから日米同盟のあり方は現状のままでいいのかどうか考えた。それが普天間問題だ。
そしてこれから日本にとって新たな脅威になる中国との関係では、平和的で経済的な構築でもって脅威を減じていく。こうした非常に大きな戦略があったのではないかと。
しかしメディアもそうだが、こういう大きな政策を議論できる余地ができてきたにもかかわらず、鳩山総理がトラスト・ミーと言ったとか言わないとか、五月危機とか、そうした政局に話がすり替わってしまったことをとても残念に思っている。


中村:そもそも基地がなくなったら本当に戦争の抑止力が失われてしまうのかをお聞きしたい。


孫崎:普天間問題を話すとき、日米関係において、アメリカがちゃんとしてくれなかったら日本の防衛が成り立たないのではという話が出るが、これには2つある。
代表的なのは「」。つまり「島」をどう守ってくれるかという問題だ。
もう1つは「」。この2つに分けて考えてみよう。
まず「島」の問題だが、昔どこかで同じようなディベートがあったときにこういった議論があった。
日本には北方領土問題がある、竹島問題がある、尖閣列島問題がある。こんな中でアメリカがいなくなったらどうなるのかと。
ところが安保条約では、アメリカが守ってくれるのは日本の管轄地だけだ。
だから北方領土は守ってくれない。
竹島については、2008年にブッシュ大統領が韓国に行ったときに竹島は韓国の領土になっていると認めた。
だからこの2つはアメリカは守ってくれない。
尖閣列島についても、多くの人はアメリカが沖縄を占領していたときはアメリカの管轄地だったので、当然アメリカは尖閣列島は日本の領土だという立場を支持してくれていると思っている。
だけど1996年くらいからアメリカは、領土問題について日中で対立があるので、われわれはどちらにもつかないと言っている。こういうような状況だから、もし尖閣で何か問題が起こったときに、アメリカは一番最初に駆けつけるということはしない。
もう1つは「核」の問題。ちょっと専門的になって恐縮だが、米ソ時代の「確証破壊戦略」というのは、理由がどうあれ、お互いに攻撃しない。どんな状況にあっても核で攻撃しない、ということを前提に作られている。
だから中国が日本を脅かして、日本がアメリカに助けてくれと言った。じゃあ日本に核の傘を与えて中国に核攻撃をしよう、ということにはならない。
したがって核の傘も、中国・ロシアの脅威に対して基本的にはアメリカは日本に供与していないと思ったほうがよい。
だから米国が日本の安全保障にどこまで貢献しているかという問題は、多くの人たちが思っている以上にアメリカは限定して考えているのだ。


金子:海兵隊の性質は、空軍や海軍とも違うが。


孫崎:海兵隊は、紛争が起こったときに最初に出かける役割を果たしている。
海兵隊の問題をもう1つ、普天間に関係して言うと、東アジアの軍事的脅威は非常に減ってきた。
まず台湾海峡の問題。これはもともと台湾が独立することに対して中国が軍事的な攻撃をするというのが台湾海峡の危険性だったが、今は中国経済が非常に強くなって、台湾はできるだけ中国との一体化を図っているから、もう独立するという道はない。
また朝鮮半島も、韓国軍の方が北朝鮮より強くなった。だから陸でもって北朝鮮が攻撃することはない。ミサイルでの攻撃はあるかもしれないが。
そういうことを考えると、海兵隊が極東で果たす役割というのは、もうここ5~6年大きく変わって、どうしても駐留しなくちゃならないという状況ではなくなった。


金子:上陸するにはグアム島から行く?


孫崎:今はアフガニスタンなどに展開しているが、米国にとっても沖縄にいるよりはグアムの方がいいと思う。1つだけ問題は、ではなぜ沖縄の方がいいと(米国が)言っているのか。
それは沖縄にいると、日本が思いやり予算で基地の負担を肩代わりしているからだ。
これによって逆に、思いやり予算があるから米軍基地が縮小できないという非常に変な構図が作られている。
日本にいると、米軍の駐在費のだいたい74%を面倒見てもらっている。
これがたとえばドイツだと25~26%だから、圧倒的に世界中で日本くらい基地を置いて米国の経済優待をしているところはない。だから米軍が日本にいる。そういう変な構図がある。


金子:かつて英国がインドを支配していたときは、インドが全部英国の駐留費をもってあげていた。まるで植民地だ、そういうことをやるのは。ぼくも屈辱的な感覚がする。
では日本はどうすればいいのか。

孫崎:先ほど西崎先生が、政権交代で日本の安全保障であるとか、外交、日米関係の根本を見直す非常にいい機会を与えられていると発言した。私も本当にそう思う。
日米同盟は果たして現状のままでいいのか。あるいは中国との関係における軍事的な脅威とは一体何なのか。
またその脅威を弱めるために経済的な結びつきをどうするのかというのを、せっかく政権交代によって与えられた機会なので、この機会を日本の国民は大事にして根本論の議論をし、あまり政局議論はしないこと。
少なくてもウエートを政策論に置くことが非常に重要だと思う。
1つだけ付け加えると、日本の多くの人はそんなことをするとアメリカが見捨てるとか、日米関係が悪くなるんじゃないかと言うが、アメリカの国内で非常に信頼されている人たち――たとえばハーバード大のジョセフ・ナイ、プリンストン大のアイケンベリー、それからパッカード。
パッカードの件についてはこの間、フォーリン・アフェアーズ誌で、日本が基地縮小ということを考えるのなら、われわれもアメリカもまともに受け止めるべきだと言っている。
というように、日本が政策を見直すことについて、あまりにもアメリカの本体が危惧を持っているといわれるが、私はそうじゃないと思う。
やはりわれわれが何をすべきかということを真剣に考えて問題提起すれば、アメリカの中のまともな人たち――ジャパン・ハンドラーのような人たちとはちょっと違うけれども、戦略の中心部の人たちはこれを真剣に考えようとしているので、こことのチャネルを大事にしながら、根本の問題を考える絶好の機会を生かしたいと思っている。


金子:最後に一言。


孫崎:きょういろいろな意見を聞いた中で、西崎先生が、日本は耐え切れない。自分で主張したいことがあっても、それに耐え切れないで放棄する、みたいなことを言っていたが、日本には国益があって、そのためにどういう政策をするかをまず決めるわけだから、その政策をアメリカにぶつけるときに、早々と耐え切れないと言わずに少し耐えてみること。そしてわれわれ国民も、外務大臣や防衛大臣、そして総理が耐えているところをしっかり評価して、がんばってと応援してあげたいと思う。







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