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激動する社会の波におぼれずに、自分の頭で考え 行動しようじゃないの。 命令されるのなんか 大嫌い。「群れない、媚びない、とんでもない」の猫の精神でがんばっていきまっしょい。
 ユーラル共和国って?  憲法記念日に思う
2010年05月03日 (月) | 編集 |

「ニセコイ」こと「二千年の恋」オープニングシーン




■ユーラル共和国(Eural Republic)は架空の国である。
旧ソ連邦に属し、中央アジアのどこかにあるらしい。たぶん(^^;

かつて同胞であったウクライナやグルジアの変化、最近のキルギスでの倒閣運動、
そして4月24日のブログでも言及した独裁的なトルクメニスタンなどの動きを
見ているうちに、ふっとユーラル共和国のことが頭をよぎった。
そういえば、ユーラル共和国ってどこにあるんだろう?


■ユーラル共和国は、2000年1月から3月までフジテレビで放送された「月9」
ドラマ『二千年の恋』に出てくる架空の国である。

そのユーラルから日本へ潜入した工作員の男と日本人のシステムエンジニアの女が
許されざる恋に落ちるというストーリーで、前年にヒットした韓国映画『シュリ』を
下敷きにしたといわれている。

ということは、ユーラル共和国のモデルは北朝鮮ということになる。げげ
しかしそこは仮にも月9ドラマだし、あくまでオシャレな設定でなくてはならない。
ということで、北朝鮮説は即却下(~_~;)


『二千年の恋』の概要についてはこちらでどうぞ。
  わが身を燃やす「丸太ストーブ」 そんな寒い冬に観たいドラマは?
    http://tekcat.blog21.fc2.com/blog-date-20091205.html



■さてドラマの中では、ユーラル共和国の場所については某国扱いでぼかしてあるが
それらしいヒントはいくつか出てくる。
まずユーラルから来た工作員たちの名前がユーリ・マロエフ、ナオミ・ナーギン、
カイ・モリエトであり、演じているのはハーフっぽいエキゾチックな風貌の日本人たち
である(^^; で、ユーリの父親や工作員たちの上司の大佐になると明らかに西洋人顔だし、
来日した政府要人は名前も顔もロシア人そのものだ。

また日本のドラマということで工作員同士は日本語で会話しているが、ユーリと父ビクトルは
一部ロシア語で、ユーリと政府要人は英語で会話する。ユーラル語で統一せんかいっ。

ユーリの父ビクトルは反政府的立場の化学者で、国家機密を盗んで米国に亡命しようとして
いる。その父の暗殺のために、母と弟妹を人質に取られた息子ユーリが送り込まれたのだ。
そんな独裁制の貧しいテロ支援国家がユーラル共和国ということになる。



■もっともらしい具体的なデータとしては、
民族構成が、ユーラル人85%、ロシア人9%、タリベク人6%。

ユーリと理得(りえる)の会話
「この国の夜は明るすぎる。星明りだけの夜が懐かしい」
「あなたの国の話ですか?」
「…ユーラル共和国」
「ユーラル?」
「なにが採れるわけでもないが、草原だけは広がっている。
小さくて貧しいが、民族は誇り高い」

「魚はダメだ」
「えっ?」
「食べられない」
「そうか。あなたの国には海がないものね」

う~ん。






またまた中央アジアの地図など…。




■大統領独裁国家トルクメニスタンはカスピ海に面しているし、天然ガスの埋蔵量が
世界有数という資源国。
そのお隣のウズベキスタンの民族構成はウズベク人80%、ロシア人6%、タジク人
5%。 ん? 比率がちょっとユーラルに似ているし、タジク人とタリベク人ってのも。
おまけに朝鮮民族も1%いるので、日本人に似ている顔立ちでもおかしくない。
海へ出るにも国境越えが必要だ。カリモフ大統領の独裁政治が続いて、GDPも最低クラスだ。
しかし国民の大半がイスラム教徒で、乾燥した土地と岩場だらけという部分は合致しない。

グルジアやウクライナ方面になるとヨーロッパ系になってしまう。
カザフスタンは草原の国だが、面積が大きすぎる。

で、残りの注目国がタジキスタンとキルギスだ。
タジキスタンは国土の半分が山岳地帯で海がない。イスラム文化が強く
内戦に明け暮れてきた。というか、国内の混乱度が大きすぎる気もするが。
ということで、無理やりこじつければキルギスか?

キルギスのより正確な国名は、クルグズ共和国(クルグズスタン)。
昔は日本でもキルギスタンって呼んでいたのに、いつの間にかキルギスになっていた。
キルギス人65%、ウズベク人14%、ロシア人12%と比較的ロシア人が多い。
宗教はイスラム教が多いが、ロシア正教も20%を占める。
やはり国土の半分は山岳地帯で湖も多い。
かつて遊牧民が住んでいた土地なので、山には草原もあるだろう。
キルギスでは日本人誘拐事件も起きた。
ソ連から独立後、最初は民主派だったアカエフ大統領は次第に強権政治に転向し
反対派を弾圧した。そしてチューリップ革命によってアカエフは追放された。
しかし皮肉なことに新しく樹立したバキエフ政権も独裁的になっていき、今年4月に
野党側がバキエフを追放、臨時革命政府を樹立したのは記憶に新しい。









■ま、所詮架空の国ゆえ、どれにも少し似ているし、かといってずばりこの国というのも
見当たらない。
ただこれら中央アジアの国々を見ていると、いろいろ興味深いことがわかる。
アジア的特徴というと語弊があるかもしれないが、今回のキルギスの動きを見ても
ソ連崩壊後に独立したこれら中央アジア諸国が、必ずしもソ連からの独立を民族的悲願に
していなかったように見受けられる。
英米が仕掛けた一連の民主革命が破綻し始めているのが、その何よりの傾向だ。

私が持っている本には、なるほどと腑に落ちる分析が記されている。
つまり中央アジア諸国はソ連からの【独立以降は、各国の大統領が「建国の父」であるか
のような言説が作られた(特にトルクメニスタン)。】
【こうした傾向は、最近では独立直後以上に強まっている。民族のナショナリズムが、
国家のナショナリズムに回収されたのである。】宇山智彦・著『中央アジアの歴史と現在』

宇山氏は、「中央アジア諸国の政治体制は、いずれも権威主義体制と呼ぶことができる。」
と述べている。
この権威主義体制の特徴とは、
(1)政治的多元性(複数の政党・利益集団などが政治に影響すること)は存在するが限定的。
(2)精巧な支配的イデオロギーを持たない。
(3)民主主義が尊重する大衆の政治参加や、全体主義が力を入れる大衆の政治的動員は、
あまり行われない。

そして一般的には、権威主義体制は民主主義と全体主義の中間だとされる。


■こうした中央アジアの政情はより民主化が進んでいる日本などの東アジアとは似て
非なるものと今までは思っていたが、昨今はどうやらそれも怪しくなってきた。
というのも上記の本の「権威主義体制の強さと弱さ」という項の一部を読むと、あまりに
日本の現状と似通っていることに気づくからである。

【権威主義体制の成立には、権力者の意図だけでなく、反対派が弱体であること、国民に政治参加の意識が弱く、政治を「お上」に任せようとすることも関係がある。そのような条件のもとでは、「強い大統領」のイメージが国民の多くに安心感を与えること、政治・経済上の問題がぼかされて大規模な対立に至りにくいことなど、権威主義体制が社会の安定を保つ面も否定できない。実際、大統領への権力集中を正当化する論理として現地で使われるのは、「経済」以上に「秩序」と「安定」である。】


■日本の場合は、上の「大統領」を「官僚」に置き換えるとよく本質がわかるだろう。
明治維新以降、官僚の力は次第に増してゆき、反対に政治家の力は弱体化した。
その官僚支配体制を打破するために声をあげた鳩山民主党政権は、生き残りをかけた
官僚とその手先となったマスメディアの熾烈な攻撃を受けている。
ところがマスメディアの洗脳を日々受け続けている国民の多くは、ちょっと巧みな
誘導で簡単に寝返ってしまう

鳩山首相を弱腰と批判し、かといって小沢幹事長のことは独裁者と断罪する。
そして小泉政権の延長である「みんなの党」がクリーンかつシングル・イシューで
わかりやすいと支持率を伸ばしているのだから、霞が関(官僚)の笑いは止まらない。


■ドラマ『二千年の恋』は、ユーリと理得(聖母マリアに受胎告知をする大天使
ガブリエルから命名)の忘れ形見の赤ちゃん(キリストの象徴か)を理得の妹まりあが
抱くシーンで終わる。
ユーリと理得は、誰も飢えることのない自由で平等な社会の実現をわが子に託す形に
なったわけだが、直後にユーラル共和国の軍事政権は崩壊し、日本との国交も樹立する。

その後ユーラル共和国は、ユーリが夢見た自由な国へと変貌を遂げたのだろうか?
そして二人の愛をはぐくみ、つかの間の安息の地となった日本は…?
天国のユーリが今の日本を見て、「なんだ…昔のユーラルと同じじゃないか」と
がっかりするようなことがないよう、あせらずあきらめず、自由の灯をともし続けて
いかなければならない。






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