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激動する社会の波におぼれずに、自分の頭で考え 行動しようじゃないの。 命令されるのなんか 大嫌い。「群れない、媚びない、とんでもない」の猫の精神でがんばっていきまっしょい。
 映画『ウォーロード 男たちの誓い』
2009年05月20日 (水) | 編集 |



左からジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武。



■先日の義母のお泊り介護の翌日、半日だけ休みが取れたので、
体調はどちらかというと悪かったが、小田原のTOHOシネマズまで出かけた。
同じ金城武が出演する映画でも、今回観に行った『ウォーロード 男たちの誓い』は
『レッドクリフ』や『K‐20 怪人二十面相・伝』などと違って、端の方の第8スクリーン。
チケットを買うときに「真ん中の通路のすぐ上の席」を指定したら、「このスクリーンには
真ん中に通路がありません」と言われてしまった

というわけで、真ん中の席でもいつもより小さな劇場のためスクリーンとも近く
あまりの映像の迫力と大音響のため、最後の方は疲れてくたばりそうになった(^^;;


■『ウォーロード 男たちの誓い』の原題は『投名状』。義兄弟の血の契りのことだ。
英語のタイトルは『WARLORDS』。軍閥の意味だ。
戦争ものと東映の任侠ものがミックスしたみたいなむさくるしい内容で、
お世辞にも女性映画とは言えないだろう
産経新聞に載っていた記事を転載する。

     産経新聞 5月12日 

    義兄弟の友情と裏切り 映画「ウォーロード/男たちの誓い」

 【シネクラブ】「ウォーロード/男たちの誓い」(ピーター・チャン監督)。
 19世紀の清朝末期を舞台に、忠誠を誓う証「投名状(とうめいじょう)」(「ウォーロード/男たちの誓い」の原題)によって義兄弟の契りを結んだ男3人をめぐる友情と裏切りを描いた熱い武侠ドラマだ。

 清朝の圧制下、太平天国の乱が勃発(ぼっぱつ)し、清朝軍のパン将軍(ジェット・リー)は自軍を全滅させてしまう。失意の中で盗賊軍のリーダー、アルフ(アンディ・ラウ)とウーヤン(金城武)に出会い、「投名状」を結んだ3人は次々と太平天国軍を撃破していく。

 「ラヴソング」(1996年)といった恋愛映画の名手、ピーター・チャン監督(62年生まれ)が壮大なアクション大作に挑戦。迫力ある合戦場面に目を見張るが、西太后から総督の地位を保障されたパンが、アルフの妻リィエン(シュー・ジンレイ)への愛を貫こうとしたことから「投名状」の誓いに亀裂が生じていく展開が、チャン監督らしい。

 リー、ラウ、金城の3人はいずれも適役。特筆すべきはリーで、感情豊かな演技力に新鮮な驚きを覚えた。本人も「一番大切なのはジェット・リーであることを忘れることだった」と語っており、本作で香港電影金像奨(香港アカデミー賞)の最優秀主演男優賞を受賞したのもうなずける。

 東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズ、大阪・高槻(たかつき)ロコ9シネマなどで公開中。(伊藤徳裕(のりひろ)/SANKEI EXPRESS)





■『ウォーロード』の元になったのは清末四大奇案の1つにあげられる「馬新貽暗殺事件」であり、ミステリアスなこの事件は、今も映画にテレビにと繰り返し作品化されている。
同じ「馬新貽暗殺事件」を描いた映画が、左の『ブラッド・ブラザース  刺馬』(1973年)。
ショー・ブラザース時代のチャン・チェ監督の最高傑作と称される作品で、『ウォーロード』はこの作品のリメイク版である。
暗殺される馬新貽(マー)に、後に『男たちの挽歌』で再ブレイクしたティ・ロン。犯人の張文祥(チャン)をデビッド・チャン。そして張文祥の義兄・黄縦(ホアン)をチェン・カンタイが演じている。
この作品で台湾金馬奨優秀演技特別奨受賞を受賞したティ・ロンの演技力と美男ぶりは際立っているが、義弟の張文祥を演じたデビッド・チャンもなかなかの好演だ。寺島進を若くさわやかな感じにした顔立ちで(^^;;二人の義兄の間に立って思い悩む表情が見事である。
またチェン・カンタイと聞くといつもいかつい顔を思い出す私だが、この作品のカンタイも若く天真爛漫な魅力にあふれ、あの新選組の近藤勇もきっとこんなカンタイみたいな顔と人懐っこさを持っていたのだろうなとふと想像してしまう。


■さて『ブラッド・ブラザース』と『ウォーロード』との比較だが、
『ブラッド・ブラザース』のマー(ティ・ロン)が、『ウォーロード』ではパン・チンユン
(ジェット・リー)に。
盗賊のホアン(チェン・カンタイ)が、盗賊の頭ツァオ・アルフ(アンディ・ラウ)に。
ホアンの義弟チャン(デビッド・チャン)が、アルフの義弟(養子)のチャン・ウーヤン
(金城武)という具合になっている。

『ウォーロード』で役名が変わったのは、事件の遺族をおもんぱかってのことだという。
ティ・ロンのファンの人なら、なぜパン将軍役がアンディじゃなくてジェットなの? と文句を
言いたくなるだろうが、ジェットの感情豊かでデリケートな演技力には私も驚かされたくらいで
これもなかなか面白いキャスティングだと感じた次第だ。


■また両作品をたとえてみれば、リミテッド・アニメーションとフル・アニメーションの違いかな。
もちろん『ブラッド・ブラザース』がリミテッドで、『ウォーロード』がフルだが。
とはいえ、安上がりなリミテッドが悪いという意味ではない。
初期のテレビアニメの『鉄腕アトム』と『風の谷のナウシカ』あたりを比べるみたいなもので
セル数が少なくてカクカクした動きのアトムでも、リミテッドなりの魅力があるのと同様だ。

昔のカンフー映画(正確には功夫 クンフー)あるいは武侠映画である『ブラッド・ブラザース』
は香港で撮影しているので、空は抜けるように青く雲は白い。
舞台セットもチープで延々と素手による闘いのシーンが続くが、特に残虐シーンもなく
明るい太陽の元で若さが爆発…ってかんじだ。
マーとホアンの妻ミランの不倫関係もわかりやすく描かれている。


■対する『ウォーロード』は徹底したリアルな描写で、その迫力たるや段違いである。
『ブラッド・ブラザース』の軽さや明るさは微塵もなく、すべてが重厚で悲劇的だ。
陰鬱な北京の曇り空や雪、雨のシーンが多く、全体として暗い場面が続く。
特に戦闘シーンはすさまじく、手足はちぎれ血煙はあがり、死屍累々…というかんじで
戦争映画は見慣れている私でもちょっときついと思う場面がいくつもあった。
ただ前半の残虐戦闘シーンを減らしてでも、逆にパンとアルフの仲にひびが入る
蘇州城の捕虜4000人を矢で皆殺しにするシーンをもっと正面からリアルに描けば
義兄弟たちの葛藤と確執がもっとくっきり浮かび上がったと思う。

またパンの率いる山(シャン)軍とパン自身の野望と勢いを恐れた清朝政府の3大臣たちは
策略を巡らしてパンにアルフを殺すよう仕向け、そのパンをも抹殺しようと図る。
この視点は『ブラッド・ブラザース』にはないもので、貧しい者はいつも抑圧されたままという
パンや義弟たち、そして民衆(太平天国の人々も含めて)の苦しみや怒りが、『ウォーロード』
をより重厚で心を揺さぶる作品にしている。
ただし、アルフの妻リィエンとパンの不倫関係をも元のままにリメイクしたせいで、義兄弟の
投名状に亀裂が入っていく真の原因が抑圧者への怒りなのかリィエンを巡ってなのか
焦点がぼやけてしまった。いっそリィエンを出さない方がよかったかも(^^;;


■また残念なのはオリジナルにはあった心理描写、特に末弟ウーヤンが2人の兄の間で
葛藤して悩む心理描写が大幅にカットされてしまったので、ウーヤンが直情的な人物の
ようになってしまい残念だ。
加えてウーヤンの処刑シーンも、あまりに残酷とかでカットされたそうだ
『ブラッド・ブラザース』にはチャンが心臓をえぐられる処刑シーンが最後にあった。


■あと少々わかりにくいのがアルフの妻リィエンの心で、無学で粗野なアルフの元を
何度も飛び出し、一夜の契りを結んだパンのやさしさと教養にひかれていくというのだが
アルフを演じるアンディ自身が穏やかで教養に満ちた人物なので、いまいちピンとこない。
この点からは、やはりパン役はアンディの方がふさわしかったかもしれない(^^;;

で、ピーター・チャン監督は金城武主演で、以前に『ウィンター・ソング』というミュージカル
映画を撮っているのだが、共にトップ俳優となったリン・ジェントン(金城)とかつての恋人
スン・ナー(ジョウ・シュン)、そして映画監督ニエ・ウェン(ジャッキー・チュン)のほろ苦い
確執を描く中に、リィエンの心理と重なっている部分があるのではないかと私は感じる。

『ウィンター・ソング』のノベライズ本の中の一番最後の部分。
【スン・ナーは貧しい寒村の出身だ。家族たちはみな、寒さにじっと耐えるかのように
ひっそりと息を潜め、感情を押し殺して生きていた。そんな暮らしに嫌気がさし、華やかな
世界を夢見て北京に出て、スン・ナーはいわゆる“北漂一族”と呼ばれる若者となった。
そしてジェントンとの日々が始まった。ジェントンをまっすぐに愛していた。でも、純粋で
不器用で欲のないジェントンのことが物足りなくなり、ひどいかたちで裏切ってしまった。
それからのスン・ナーは貪欲に、階段を昇りつめることだけを目指した。ニエ・ウェンに
出会ってからは、彼の手を放さずに、彼だけを見つめていた。ニエ・ウェンのことをきっと
愛していたから。愛していたはずだから。】



■ピーター・チャン監督は3度金城武を起用して、新作映画『等待』(原題)を撮影する
と発表した。共演はチャン・ツィイー。
これはハー・チンの同名小説の映画化で、1950年~60年の中国共産党時代を舞台に
医者と看護師の18年に及ぶ愛を描いた作品だ。
元々はチョウ・ユンファとマギー・チャン(またはコン・リー)で撮る予定だったという。
今度はどんな苦い愛の形(^^;;になるか、楽しみだ。





 

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