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 台湾総統選で国民党・馬氏が大差で勝利
2008年03月23日 (日) | 編集 |

■チベット蜂起による世界的な中国非難が高まる中、結果がどう出るか私も選挙の行方を注目していたが、予想外の大差(200万票超)で国民党の馬英九(マー・インチウ)氏が勝利を手にした。
台湾は中国の一部という「一つの中国」を標榜する国民党に、中国と台湾は別の国として「台湾独立」を主張する民進党が敗北する形になったわけで、国民の意識がはもはやイデオロギーよりも経済という現実優先へと変化した結果なのだろう。
加えて、民進党の汚職問題が国民にそっぽを向かれた大きな要因でもある。





■この選挙結果の分析で、なるほどと思った新聞記事を紹介したい。


信濃毎日 3月23日
  http://www.shinmai.co.jp/news/20080323/KT080322ETI090004000022.htm

         台湾総統選 海峡の安定が選ばれた

 台湾の総統選挙で、中国との関係を重視する政策を掲げた野党国民党の馬英九候補が当選した。台湾海峡の緊張を望まない人々の気持ちが、馬候候補を総裁の座に押し上げた。中国政府は結果を前向きに受け止めて、中台関係の安定化に努めるべきだ。
 国民党は中国本土にルーツを持つ正当だ。共産党によって大陸から追われ、台湾に渡った。もともと台湾に住んでいた人々にとっては、外来の政治勢力である。(中略)

 今度の選挙で見落とせないことが2つある。1つは、台湾政治の民主化が一段と進んだことだ
 野党結成の容認(1986年)、戒厳令解除(87年)、初めての総統直接選挙(96年)−とステップを踏み、2000年の総統選では初めて平和的な政権交代が実現した。
 国民党は今回、人々の1票に支えられて政権を奪い返した。政治の成熟を内外に印象づける結果である。共産党の一党支配が続く中国との対比で、国際的地位の向上にも役立つことだろう。

 もう1つ見落とせないのは、国民党の土着化、台湾化とでも言うべき現象だ。
 中国との関係について各種世論調査では、中国から独立せず、かといって統一もしない現状維持を望む声が圧倒的に多い。馬候補はそこに狙いを定め、台湾語を交えた演説をするなど、台湾に立脚した政治家であることをアピールした。(略)




北海道新聞 2月23日
  http://www.hokkaido-np.co.jp/news/international/82966.html
       

  中国、統一攻勢加速へ 台湾新総統に馬氏 経済交流拡大、対話再開も

(略)中国との対決姿勢を鮮明にした陳水扁総統の民進党政権に対し、中国政府はいらだちをあらわにする一方、台湾への強硬姿勢を抑えてきた。過去の総統選では、武力行使をちらつかせて台湾独立派を脅した結果、かえって「台湾人意識」の結束を招いて独立派が勝利を収めてきたからだ。その意味で今回の政権交代は、中国側の忍耐の結果と言える。

 国民党の政権復帰に向け、中国は二〇〇五年四月に胡錦濤国家主席(共産党総書記)と連戦国民党主席(当時)による六十年ぶりの国共トップ会談を実現させるなど関係を強化してきた。胡主席は昨年十月の共産党大会で、台湾に「敵対状態の終結と平和の合意」を呼びかけている。

 これに基づき、中国は台湾との経済交流を広げる傍ら、今後は陳総統が受け入れを拒否したパンダ二頭の寄贈を手始めに、一九九九年から中断している政治対話の再開、最終的には胡主席と馬氏による初の中台首脳会談の実現を持ち掛ける可能性も高い。

 しかし、馬氏は選挙戦終盤、中国のチベット暴動鎮圧を批判し、北京五輪ボイコットまで口にするなど、人権や民主主義で譲らない姿勢も見せている。馬氏が性急に対中融和策を進めると、「台湾人意識」を高めた世論から反発も招きかねない。中台対話は、台湾世論の動向を見ながら慎重に進めるとみられる。




東京新聞 3月23日
  http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008032302097605.html

       米は『独立』沈静化期待

 【ワシントン=立尾良二】ブッシュ米大統領は二十二日、台湾総統選で勝利した国民党前主席の馬英九氏に祝意を伝えるとともに、「台湾と中国が互いの違いを平和的に解決する新しい機会になるよう期待する」との声明を発表。米政府としては「一つの中国」政策を堅持する方針を示した。(略)

 一方で、ブッシュ政権は台湾の防衛支援のために、キッド級駆逐艦や地対空誘導弾パトリオット(PAC3)など先進武器売却を決定したが、国民党の反対で難航している。ライス長官は「台湾は民主的な存在であり独自の決定権がある」と配慮するが、国民党政権の誕生は米国の台湾政策に影響を及ぼしそうだ。




中日新聞 3月23日
  http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2008032302097554.html

     台湾政権交代 東アジア安保にも影響

(略)民進党の支持者の中にも「国民党の方がましだったと思うことがある」という失望の声がある。
 政府では民進党につながる人々が政治任命ポストだけでなく優遇された。陳水扁総統の一族をはじめ党幹部の汚職事件が次々と暴露された。
 経済運営では目立った成果がなく、経済成長率は一九九〇年代に比べ著しく減少した。「M字型社会」と呼ばれる格差の拡大が進行した。(略)

 国立政治大学の世論調査では、自らを台湾人と思う人は四割を超え、中国人と思う人は一割を切った。しかし「台湾人であると同時に中国人」と思う人も四割を超え、台湾人としての意識は、ただちに独立を目指すことにつながらないようだ。(略)

 「中国国民党」の政権奪取によって対中関係は緩和する。中国は「中国人であると認めれば対話する」としており、中台間の直航や貿易も進展するだろう。
 しかし、急激な変化は軍備増強を加速する中国と米国、日本のパワーバランスを揺るがす恐れがある。馬英九次期総統は「台湾海峡の現状を維持する」との言葉通り対中関係とともに陳水扁政権で傷ついた対米関係の修復、対日関係の強化に気を配り東アジアの安定を図ってほしい。






■上の論評にもあるように、中国政府は今回の台湾や香港と同様に、チベットに対しても武力を持っての鎮圧政策をただちに改め、「敵対状態の終結と平和の合意」に努めるべきだ。
今回馬氏が掲げた「新三不政策」(統一せず、独立せず、武力を用いず)は、確かに状況が異なるとはいえ、チベットに対しても有効な政策ではないかと思う。