激動する社会の波におぼれずに、自分の頭で考え 行動しようじゃないの。 命令されるのなんか 大嫌い。「群れない、媚びない」の猫の精神でがんばっていきまっしょい。
 大国の思惑に翻弄されるチベット(2)
2008年03月21日 (金) | 編集 |


06年に開通した、西寧〜ラサ間1956キロを結ぶ青蔵鉄路(青海チベット鉄道)
そのほとんどが4000メートル以上の高地で、550キロの永久凍土も走る。





■昨日のブログ「大国の思惑に翻弄されるチベット(1)」では、チベット民族の今回の蜂起に対する中国政府の過酷な鎮圧に、欧米の抗議の声が予想外に小さい。それは中国経済に頼らざるを得ない各国の思惑を反映したものだという記事を紹介した。



    
   

■左は中国の地図。右の色のついている地域は中央アジアである。クリックで拡大。
中国の西部に位置するカタカナの地名地域が自治区のチベットや新疆ウイグルで、インドやパキスタンをはじめ、アフガニスタンなどのイスラム諸国と国境を接している。地理的に見ても、いかに中国にとってチベットやウイグルが重要な緩衝地帯かわかるだろう。ちょっとやそっとでは手放せない要所になっているのだ。

おまけに、この地域は資源の宝庫でもある。
チベットはリチウム、クロム、銅、ダイヤモンドなどを大量に埋蔵しており、新疆ウイグルには豊富な石油や天然ガスがある。


   中国情報局ニュース 07年2月13日

        チベット高原に銅、鉛など大量の鉱物資源

  中国地質調査局は中国南西部のチベット高原で新たに銅、鉛、金、銀、鉄の鉱床など600カ所以上が見つかったと発表した。13日付で香港・経済通が伝えた。
  銅の埋蔵量は3000−4000万トン、亜鉛・鉛は4000万トンにのぼる見通し。同局では「中国で不足している鉱物資源を補うことになるだろう」と期待を寄せている。






■左は、旅行会社の青海チベット鉄道の路線図。
そういえば去年NHKで、この青海チベット鉄道が開通して1年後のチベットの様子をレポートしていた。このときは何気なく流し見していたのだが、確かこの鉄道によって観光客がワッとラサに押し寄せ、新たなホテルが次々と建てられているさまが映っていた。そしてオーナーの中国人(漢民族)がホテルの装飾品用にと、チベットの村々を訪れては古い家具を買い取っていた。こうした商行為に不慣れなチベットの人々の戸惑った表情がひどく印象的だった。




■青海チベット鉄道の開通によって、自治区の人口以上の観光客が訪れ観光収入も飛躍的に増えたが、それはほとんど漢民族の手に渡り、寺院や僧侶も観光のターゲットになって、古くからの文化や人の繋がりも急速に希薄なものになりつつある。
加えて資源の発掘や石油パイプラインの建設が漢民族のチベットへの流入を加速させ、民族対立を激化させる結果になっているのだ。

こうした不満が積もり積もって、今回の大規模蜂起の要因の1つになっていったのだろう。




■チベット自治区が中国にとっての要所であるように、中国を敵視するアメリカにとってもチベットは中国封じ込めのための重要なカードである。
これまでCIAはダライ・ラマ14世の亡命政府や抵抗運動組織の若者たちに資金援助を続けてきた。

近年のアメリカは、中国との親密を深める方向に転換したハト派(中道派)と、これまで同様打倒中国の方針を貫こうとするタカ派とのせめぎ合いが激しくなっている。
親中国派が今回の中国政府の力による制圧に口をつぐむ一方で、タカ派は抵抗運動を後押ししているのだろうか。もしかしたら、この暴動の火付け役をしたのも彼らかもしれない。
アメリカの未曾有の金融クライシスが始まった現在、ドルを脅かす大きなカードを持っている中国を叩くにはまたとないチャンスであるからだ。
これまで様々な国にしたように―アフガン、イラク、旧ソ連諸国のカラー革命など―民主化や人道支援という名の介入や干渉、あるいは侵略である。

もしもそうであるなら、大国のその時々の都合や国策によって振り回され利用されるチベット民族の今後についても大いに憂慮されるだろう。



     読売新聞 3月17日
        http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080317-OYT1T00487.htm

        亡命チベット人有力者、ダライ・ラマに異例の苦言

【ダラムサラ(インド北部)=永田和男】インドに亡命しているチベット人民間活動団体(NGO)5団体の代表者が17日、ダラムサラで記者会見し、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が北京五輪開催を支持していることに「失望している」と明言し、ダライ・ラマが唱える中国との対話路線についても「修正が望ましい」との考えを示した。

 ダライ・ラマに、亡命チベット人有力者が苦言を示すのは異例。各NGO代表者は、チベット自治区内住民との接触も踏まえて、ダライ・ラマの意見が政治面では必ずしもチベット人大多数を代表していないと指摘した。ダライ・ラマの影響力にかげりが見られるようなら、チベット問題の一層の複雑化は必至だ。

 会見した5団体はいずれも中国からのチベット独立を主張しており、10日にダラムサラを徒歩出発して北京五輪に抗議しながらラサを目指すデモ行進を企画するなど、活発な反中国活動を繰り広げている。

 北京五輪についてNGO「チベット青年会議」のツゥエワン・リグジン議長は、開催決定の2001年以降、チベット自治区内の人権状況はかえって悪化の一途をたどっているとして、「人権を尊重しない中国に開催資格がないのは明白だ」と語って、開催支持を繰り返すダライ・ラマに反論した。

 リグジン氏は、ダライ・ラマが「独立」でなく「高度の自治」を求めて中国側と02年以来円卓会議を重ねていることについても、「中国側に誠意がないのは明らか。若い世代にはいらだちが募っている」と、亡命チベット人社会の雰囲気を紹介した。また、「ダライ・ラマは今も我々の指導者」と語ったが、01年に亡命政府の民主選挙が実施されて以降は「半ば引退の身だ」とも指摘した。





       東京新聞 3月19日
         http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008031901000129.html

         チベット独立急進派の関与示唆 中国紙が暴動経緯報道

 【北京19日共同】18日付の中国共産党機関紙、人民日報(海外版)はチベット自治区で起きた暴動の経緯を報道、チベット独立急進派の亡命チベット人組織「チベット青年会議」が関与していたことを示唆した。

 「ダライ・ラマ集団が画策、組織した暴力事件の真相」と題する記事で、青年会議は「北京五輪を標的に中国内外でさまざまな過激な活動を展開する」と宣伝していたと指摘。「自由チベット学生運動」など複数の独立運動組織と連携し、5月に予定される五輪聖火のチベット自治区でのエベレスト(中国名チョモランマ)登頂計画を阻止しようとしていたという。

 同会議はダライ・ラマ14世の亡命政府とは別の亡命チベット人組織だが、記事は14世自身も青年会議など急進派の暴力活動を「公に支持」していたと断定した。