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 大国の思惑に翻弄されるチベット(1)
2008年03月20日 (木) | 編集 |


写真は14日、ニューヨークにある国連本部前で行われた抗議デモ
(2008年 ロイター/Lucas Jackson)




■毒ギョーザ事件ですっかり中国嫌いになった日本のメディアは、連日チベット暴動事件を大きく取り上げて中国政府の非道を報じている。欧米をはじめ各国も北京オリンピックのボイコットを検討しているとかで、世界中が中国に強い怒りを表明しているという。
視聴している側は、この事件をきっかけに新たな戦争でも始まるのではないかという気分にさえなってしまいそうだ。

しかし過熱気味のテレビ報道を観ながら、本当のところはどうなのだろうとずっと考えていた。
特にこのタイミングだ。3月10日は中国人民軍の侵攻を受けたチベットの人々がラサで大規模な抗議に立ち上がった記念日。したがって毎年抗議デモが起きるそうで、さらに今年はオリンピックを控えた絶好のアピールの場である。しかしながらそれ以外にも、報道されないもっと切実な何かが後押ししているのではないかと感じたからだ。



■そんな折、ロイター通信のこんな記事を見つけた。

       チベットの騒乱、中国経済の影響力を前に西側諸国は沈黙か(3月20日)
        http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-30925220080320

 [ロンドン 19日 ロイター] 
中国チベット自治区で起きた騒乱では、西側諸国が中国政府の対応を声高に非難する姿勢はさほど見られず、中国経済の影響力の大きさが暗に示される形になった。
 昨年ミャンマーで起きたデモ弾圧に対する反応とは対照的に、チベット騒乱での中国政府の動きに対しては、西側諸国からの批判の声が非常に弱いと専門家らは指摘している。

 米国の保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のジョン・タシク氏は「ワシントンでは中国を例外扱いにする傾向がある」と指摘。中国の専門家である同氏は「ビルマ(ミャンマー)やスーダン、ウズベキスタンがやれば強く非難することを、中国の場合は知らないふりをしたいのだ」と述べた。

 チベット自治区ラサでのデモ参加者と中国当局との衝突による死者数は、中国当局が13人、チベット亡命政府が約100人と発表している。米国や西側諸国は同騒乱で自制を求めたものの、さらに踏み込んだ強い懸念は表明していない。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの中国の専門家は「中国をめぐる人権侵害を声高に言いたくない雰囲気が各国政府にある」と指摘する。

 2003年から年率10%以上の成長が続く中国は、今や世界4位の経済大国。向こう数十年の間には、米国を抜いて世界最大の経済大国になる可能性もある。

 また、中国は原油や金属など資源確保の動きを世界中で進めており、今年2月に国営の中国アルミが米アルコア(AA.N: 株価, 企業情報, レポート)と共同で、英豪系の資源大手リオ・ティント(RIO.L: 株価, 企業情報, レポート)(RIO.L: 株価, 企業情報, レポート)の株式取得に動いたことも記憶に新しい。

<タイミングと経済的相互依存>

 チベット情勢に関する西側諸国の関心は過去にも高かったとは言えないが、米中間の経済的相互依存が強まっている現在では、これまで以上に西側の「不干渉」姿勢が浮き彫りになっている。

 チベットで今回の騒乱が起きたのは、米政府が信用危機や米ドル下落という問題に直面している微妙な時期。約1兆5000億ドルの外貨準備を保有し、その大部分を米国債で運用している中国が米国債の購入をストップすれば、米ドルは一段と下がる可能性がある。

 昨年12月には、中国の政府系投資ファンドである中国投資公司が、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)などの評価損で多額の損失を出した米モルガン・スタンレー(MS.N: 株価, 企業情報, レポート)に対し、総額50億ドルの出資を行っている。

 一方、中国も米国や西側諸国への製品輸出を背景に大幅な貿易黒字を維持しており、その点でも両者は経済的に相互依存している。

 欧州連合(EU)では、ブラウン英首相が1月に中国を訪問した際、中国の政府系ファンドからの投資受け入れに前向きな姿勢を示したほか、サルコジ仏大統領の昨年11月の訪中時には、フランス企業が総額300億ドルの契約をまとめている。





■私の3月17日のブログ「ドル崩壊へのカウントダウン」でも、こう書いたばかりだ。
     http://tekcat.blog21.fc2.com/blog-date-20080317.html 

「アメリカにとって最大の貿易相手国となっている中国は巨額のドルを保有している。 
さらに中国は大量の米国債を購入しており、こちらは世界第2位である。
もし中国が保有する米国債を手放せば、米国の財政は破綻し、ドルは紙屑になってしまう」と。






          以下は、大国の思惑に翻弄されるチベット(2) に続く。     
         http://tekcat.blog21.fc2.com/blog-date-20080321.html