激動する社会の波におぼれずに、自分の頭で考え 行動しようじゃないの。 命令されるのなんか 大嫌い。「群れない、媚びない」の猫の精神でがんばっていきまっしょい。
 イージス艦衝突:2つの疑問
2008年03月02日 (日) | 編集 |

■2月19日に海自のイージス艦「あたご」とマグロはえ縄漁船「清徳丸」が衝突事故を起こして以降、防衛省の対応のまずさが次々に露呈し、石破防衛相の引責辞任を求める声が高まっている。
清徳丸の船長・吉清さん親子は未だ行方不明、防衛省の発表と清徳丸の僚船の証言も食い違ったままだ。

■この事故で当初から気になったことが2つある。
いずれも2月20日のブログに書いているので、もう一度振り返ってみたい。







      疑問1 レーダーは機能していたのか?


■2月20日のブログ
 イージス艦衝突と「週刊文春」の気になる記事
 http://tekcat.blog21.fc2.com/blog-date-20080220.html

今回の事故で思い出したのが、『週刊文春』2月7日号の以下の記事だ。

  自衛隊員100人自殺  横須賀海士長が遺した「内部告発」

同記事のリード文はこうだ。

「帰りたくない」 
中東から帰還した隊員の自殺、それは自衛隊がヒタ隠す「暗部」を示すものだった。3年連続で100名もの自殺者がる背景に何が潜んでいるのか。やはり死を選んだ護衛艦の海士長が弁護士に託した「告発文書」。そこには凄惨な真実が綴られていた。

(以下略)




■『週刊文春』の記事には、海自内のいじめで、護衛艦「はたかぜ」のレーダーがわざと調整を狂わされ、小型船舶が映りづらくなっていたという元海士長の記録が掲載されていたのだ。
場所も同じ千葉県沖だ。

事故のニュースを見て、ふとこの記事が浮かんだ。
「あたご」にいじめが存在したのかはわからないし、レーダーも見張りもきちんと機能していたのかもしれない。しかし過去にこうした事件があったということは、似たような重くるしい雰囲気が隊員を覆い、それが士気の低下を招くような可能性がなかったかどうか、この点も検証すべきではないだろうか。



■私と同じ疑問を書いている記事を見つけた。

 週刊かけはし
  http://www.jrcl.net/web/frame080303b.html
  「あたご」衝突事故の一側面
  横行する自衛隊内の「いじめ」一般兵士の人権否定を問題に




■自衛隊でのいじめの記事も多い。

  スポーツ報知 06年9月14日
  http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20060914-OHT1T00035.htm  
  消える自衛隊員に何が?…外出制限、集団生活、いじめ原因か

  
  JANJAN 07年12月29日
   http://www.news.janjan.jp/government/0712/0712278015/1.php
   海自隊員のいじめ自殺 護衛艦内で部下をサバイバルゲームの的に






■軍隊といじめに関連して、
もうひとつ思い浮かんだものがある。
辺見庸のルポルタージュ
『もの食う人びと』だ。


この中に、「兵士はなぜ死んだのか
という章がある。
場所は、体制が崩壊して間もなくの、厳寒のロシア。





 1993年はじめにロシア太平洋艦隊で不思議な事件が起きていたことを、私はかなりの月日を経てから、外電や日本の雑誌で知った。
 艦隊訓練基地で新兵数十人が栄養失調で入院し、うち4人が死亡した、という。「原因」として、報道は、艦隊の財政悪化、食料横流しの可能性をほのめかしていた。
 おかしい。
 衰えたりとはいえ、核を有し、ペルシャ湾哨戒にも参加している大艦隊である。いささかの食糧不足ならいざ知らず、新兵が死ぬほどの栄養失調がなぜ起きるのか。



そこで辺見はロシアに飛び、事件の「なぜ」を探っていく。
ところが人それぞれに言うことが違う。

歩道で花火を売っていた看護婦のおばさんは、
「エリツィンが大統領になったら軍も社会も腐ったのよ。肉の缶詰の横流し。肉なし生活。それで新兵が栄養失調になったのよ。かわいそうに」

公園にいたおじさんは、
「こりゃ秘密だが、ジェドフシーナだよ。つまり、軍隊内のいじめ。それが原因さ。軍も悪くなったもんだ」

ヤミ商品を買っていた19歳の軍艦の乗組員は、
「4人は軍隊生活が辛くて、病気除隊になろうと、せっけんを食べた。それで死んだ。ぼくは上官からそう聞きました」

海軍大学2年生は、
「あの事件? もともと健康上問題のある不適格者を入隊させたからですよ。4人は入隊時、すでに病気だったらしいのです」


結局、辺見は地元紙『ウラジオストク』の記者から真相を聞いた。

 将校らが肉の缶詰など食品の組織的横流しをした。ために軍の食卓の中身が悪化した。上級兵士らがわれ先に栄養価の高いものをむさぼり、新兵は飢え、ゴミ箱を漁る者まで続出した。
「もともと存在していたジェドフシーナ、つまりいじめが、横流しによる食べものの不足で異常に激しくなったんだ。軍内部の複合的悪事でこうなったわけだ」
 戦時でもないのにだよ、と彼はため息をついた。新兵の食事は5分間だけというジェドフシーナもあったという。

(中略)

 軍当局の説明はどうだったのか。
「秘密主義だよ。最小限の情報しか出さない」



その後、辺見は、事件の調査にも当たったウラジオストク市長に会った。
未だにいじめの被害者が訴えに来ると、市長は言う。

「軍には共産党時代の構造がまだ残っている。能力でなく党に忠実かどうかで将校を任免してきたのだ。知識人は軍を追われ、将兵の質が知識もモラルの面でも著しく低下したために、部隊はまるで刑務所か暴力組織のようになった」
 逮捕ないし免職が、死者を出したルスキー島の2つの教育訓練部隊将校を中心に15人。さらに20人を調査中、という。だが、市長は、軍は自浄能力を失っていると言う。
「軍が軍を裁くのではだめなのだ。互いにかばいあっているのだから」



■以上、引用が長くなったが、過去のロシアの事件とはいえ、現在の日本の防衛省に符合するような箇所も多く、ひどく身につまされてしまう。







      疑問2 そのとき清徳丸の無線は?


■同じく2月20日のブログ
 イージス艦衝突  国民の命を奪う国防って?
 http://tekcat.blog21.fc2.com/blog-date-20080220.html
新聞記事に気になる箇所があったので、以下のようにそのまま転載した。

  朝日新聞 2月20日
  http://www.asahi.com/special/080219/TKY200802200006.html
  漁船団、迫る艦船に「危ない」 無線に清徳丸は反応なし

(前略) 清徳丸と同じころに出港した幸運丸の堀川宣明船長によると、清徳丸を含む船団は幸運丸の後方約3キロの位置を、漁場に向けて時速約15ノット(約28キロ)で航行していた。
 午前3時半ごろ、幸運丸のレーダーに、左舷前方約9キロから接近してくる船影が映った。12〜13ノットで東京湾に向かっているようだった。
 「なんの船だ」「タンカーか、フェリーか」
 後続の漁船同士が無線などでやりとりを始めた。しかし、その中に清徳丸の吉清船長の声はなかったという。  幸運丸は、イージス艦から見て右舷から左舷に横切る形で前方を通り抜けた。清徳丸などの船団が後ろに続いていたが、イージス艦はそのまま直進してきた。 (後略)



■「あたご」に気づき、互いに無線で交信しあう漁船団。しかし清徳丸の交信はなかった。
無線が故障していたのか? それとも無線に出られない事情があったのか? 清徳丸は「あたご」に気づくのが遅れたのか?

漠然とした疑問を持ちながら、すぐにその疑問は解けるだろうと思っていたが、未だに詳しいことはわからない。