激動する社会の波におぼれずに、自分の頭で考え 行動しようじゃないの。 命令されるのなんか 大嫌い。「群れない、媚びない、とんでもない」の猫の精神でがんばっていきまっしょい。
 ブレイクの詩「虎 The Tyger」からのインスピレーション
2015年01月08日 (木) | 編集 |

ようやく1ヵ月半ぶりの半日休暇。
大浴場の大掃除の後、午後3時過ぎに猫の餌や衣料品を買いに熱海へ行った。
いろいろやりたいことがあるけど、時間がなくて買い物だけで終了。
ドドっと疲れが出て、腰や肩が痛い(>_<)

それはさておき、マドレーヌの味から幼い日の記憶が蘇った、プルーストの小説
『失われた時を求めて』ではないけれど(^_^;) 誰もがふと目や耳にしたものから
潜在的な記憶蘇らせることがあるはずだ。
先日海外テレビドラマについて少し書いてみたが、北欧ミステリーの他にはまっている
のが、米国テレビドラマ・シリーズの『メンタリスト』だ。
「スーパー!ドラマTV」で、シーズン5まで放送中(シーズン6は日本ではまだ未公開)。





FBIならぬCBI(カリフォルニア州捜査局)のコンサルタント
パトリック・ジェーンは、元・人気霊能占い師。
連続殺人犯レッド・ジョンに妻と娘を殺害され、CBIの捜査と並行して
レッド・ジョンの足跡を追い、彼と対決するのが主なストーリーだ。
レッド・ジョンの犯行現場には、被害者の血で描いた顔マークが残されている。
ジェーンの捜査方法はホームズや刑事コロンボばりの鋭い観察力や
人間心理を応用したもので、その思いもよらない突飛な行動や
イヤミな物言いが、たまらなく魅力的でクセになる(^_^;)
ま、同僚としては、こういうタイプはお断りだけど。

ジェーンを演じるサイモン・ベイカー主演の、若い頃のテレビドラマ
『堕ちた弁護士~ニック・フォーリン~』も、私のお気に入りの作品だ。




ま、なにしろ録画しておいたのを、夜中に寝ながら観るもんで、気がついたら番組が
終わってしまっていたというのが度々で、ストーリーも前半しか覚えていないことも
多い。そんな中、ある回で(どこだったか記憶がない)、CBI捜査チームの一人である
キンブル・チョウが車の中で詩の解説をするシーンがあって、その詩の作者が
英国の詩人であり画家であるウィリアム・ブレイクであることがわかったとたん、
プルーストの小説のように、忘れていた記憶がどどどどっと蘇ったのである(^^ゞ

そこで、寝てしまって見逃した前の回を探してみると、シーズン2の第23話
(最終話)「夜明けの赤い空」で、決定的なエピソードがあったことが判明。
どーもその後の話と、うまくつながらないはずだ(´>∀<`)ゝ






レッド・ジョンのコピーキャット(模倣犯)に捕まって
グルグル巻にされたジェーンのもとに
気味の悪いマスクをかぶった本物のレッド・ジョンが現れる。
コピーキャットどもを撃ち殺した後で、レッド・ジョンは
ジェーンの耳元で、ある詩のフレーズをささやく。
「虎よ 虎よ 明るく燃える…」



  

捜査チームの同僚たちに救出された後
今は空家になった元の家の中で
ジェーンは、レッド・ジョンがささやいた
ブレイクの詩を繰り返す。
「虎よ 虎よ 明るく燃える」
 



    

「暗い夜の森で」
「不死の手や目が作りし その恐ろしき造形」






部屋の壁には、かつてレッド・ジョンが残した顔マークが。



この他にも、シーズン3の第9話でも警官殺しの犯人が「虎よ 虎」と言い残したらしい
が、私の記憶にないので(^_^;) いずれチェックしよう。
あとは第16話「赤の女王」で、バートラム局長がブレイクの他の詩の一部を口にする
シーンがある。

  「小さな心が目覚める時 恐ろしい夜は明けるだろう」

これもブレイクの詩、『無垢の歌』の中の「子守歌(ゆりかごの歌)」だという解説がある。

   おお、ずるがしこいたくらみが
   眠る幼い心にしのびこむ!
   幼い心がめざめるとき 
   恐ろしい稲妻がはじける



ところが、実際のブレイクの「子守歌」はこんなかんじだ。

   かわいい夢よ、影をつくれ
   いとしいうちの坊やの頭の上に。
   快い流れのかわいい夢よ、
   幸ある静かな月の光に照らされて。
                 (『対訳 ブレイク詩集』 松島正一・編)

実は英国の作曲家ベンジャミン・ブリテンが、「ウィリアム・ブレイクの歌と格言 OP74」
という歌曲を作っていて、それがバートラム局長が口にした「小さな心が目覚める時」
なのではないかと、私は推測する。
こっちの方が、逆に本物のブレイクみたいなかんじだし…ね。
   









正直に言うと、私は「虎」の詩は10代の頃から知っていたが、作者のブレイクの
名前を知ったのは30代になってからだった(;^ω^)





アルフレッド・ベスターのSF『虎よ、虎よ!』
中学生以降、小説はSFかミステリーものしか読まなかったので
脳みその中身が偏ってしまったかもしれない( ´艸`)
その後、同人誌で主にSF小説を書いていた頃
私もこの主人公フォイルの姿からインスピレーションを受けて
顔に車の轍のような醜いタトゥーがある
「ワダチ」という名の女性サイボーグを登場させたことがあった。



この本の冒頭に、ブレイクの詩が記されている。

    虎よ! 虎よ! ぬばたまの
    夜の森に燦爛と燃え。
    そもいかなる不死の手 はたは眼の
    作りしや、汝がゆゆしき均斉を。
            ウィリアム・ブレイク

上のSFの舞台は、「ジョウント」というテレポーテーションが可能になった25世紀。
顔に虎の刺青をされたガリヴァー・フォイルの、宇宙をまたにかけた復讐譚である。

余談だが、フォイルの奥歯に加速装置のスイッチが埋め込まれてるという設定を
知ったときは、心底驚いた。大好きな『サイボーグ009』の加速装置とまったく
同じで、石ノ森章太郎(当時は石森章太郎)の発想のルーツをのぞき見てしまった
思いがしたからだ。
ちなみに石ノ森の大好きなSF小説は、P・K・ディックの『高い城の男』である。

さらに余談だが、スティーブン・キングの作品にも『ジョウント』という短編があって
これはもちろん『虎よ、虎よ!』からインスパイアされた(というかパクリ)で、元々
キングはSF作家を目指していたわけなんだが、結局その才能はなかったんだなと
納得できる出来だった(^_^;)


遅くなったが、ここでブレイクの『虎』(松島正一・訳)を。
詩は訳者によってずいぶん雰囲気が変わるものではあるが。
原題は、『The Tyger』。
ブレイクは単語のスペルにもこだわり、TigerではなくTygerと記している。


           虎

   虎よ、虎よ、輝き燃える
   夜の森のなかで、
   いかなる不滅の手、あるいは眼が
   汝の恐ろしい均斉を形作り得たのか。

   いかなる遠い深海か大空で
   汝の眼の火は燃えていたのか。
   いかなる翼にのって彼は高く上がろうとしたのか、
   いかなる手でその火を捉えようとしたのか。

   いかなる肩、いかなる技が
   汝の心臓の筋を捩(ね)じり得たのか。
   そして汝の心臓が鼓動を始めたとき、
   いかなる恐ろしい手が、いかなる恐ろしい足が。

   いかなる鉄槌が、いかなる鎖が、
   いかなる溶鉱炉に汝の脳があったのか。
   いかなる鉄床が、いかなる恐ろしい把握が
   その致命的な恐怖を握り得たのか。

   星たちがその槍を投げ下ろし、
   その涙で天をぬらしたとき、
   彼はおのれの作品を見て微笑したか。
   子羊をつくった彼が汝をもつくったのか。

   虎よ、虎よ、輝き燃える
   夜の森のなかで、
   いかなる不滅の手、あるいは眼が
   汝の恐ろしい均斉をあえて形作ったのか。




      







ブレイクは生存中は詩人としての名声を得ることなく、彫版師として生涯を
過ごした。数々の版画や銅版画、水彩画の作品も残している。
彼の水彩画が最近また注目を浴びたのが、ハンニバル・レクター博士シリーズの映画
『レッド・ドラゴン』(原作はトマス・ハリスの小説)でだった。








映画館で買った絵葉書。
映画『嵐が丘』以来のレイフ・ファインズのファンなので
木更津の友人を誘って、千葉市の映画館で観た。
ううう、美しいレイフがレッド・ドラゴンこと
殺人鬼ダラハイド役だなんて( ;o;)






ダラハイドの背中の刺青のモデルになったのが
ブルックリン美術館所蔵のブレイクの水彩画
『巨大なレッド・ドラゴンと日をまとう女』



中野京子『怖い絵 2』の中にも、ブレイクのこの絵が取り上げられている。

【巨大な多頭のレッド・ドラゴンは悪魔的存在の化身であり、竜と人とが合体した
異形の怪物で、今しもコウモリのような不気味な翼を思うさま拡げ、横たわる美女を
威嚇している。(中略) 
悪夢のようなこの光景は、『ヨハネ黙示録』の一場面を描いたものだ。】
【これは、か弱い女性の怯えを楽しむ怪物の姿である。相手の震えを自らのエクスタシー
に取り込む異常者の姿である。無力感にうちひしがれた女性を我が身と感じれば、
これほど怖い絵はない。しかし怪物にやすやすと我が身を重ねることのできる者に
とっては…。】

中野氏によると、ブレイクは幼少時から異常な幻覚を見ることで知られ、予知能力で
他者の未来の出来事を的中させたこともあったという。

中野氏の解説で特に興味深かったのが、この部分だ。
【ブレイクは、『黙示録』の一場面に強烈な性的フラッシュを浴びせることで、未来の
モンスター、つまり現代のサイコパス、暴力的変質者たちの出現を予告したのだろうか。
彼らの終わりなき夜の凄まじい内面世界を、ブレイク自身もまた知悉していたのだろうか?】











メンタリストの「虎よ虎よ」からレッド・ドラゴンにまで話が逸脱してしまったが
ブレイクの詩と絵を介して、「レッド・ジョン」と「レッド・ドラゴン」の相似形的な関連性も
よりはっきり浮かび上がってきたように思う。
レッド・ジョンはレッド・ドラゴンと同様、無慈悲な怪物であり、サイコパスでもある。
同時に元霊能占い師であり(本人はインチキであると客観視しているが)、ある意味
サイキックでもあるジェーンは、幻視するブレイク自身ともいえるのではないだろうか。
彼ジェーンもレッド・ジョンと同じモンスターであり、サイコパス的要素も有していると
言えなくはない。

というのが、虎からインスピレーションを受けて龍へとたどり着いた、私の白昼夢である。





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 これはビックリ(゚д゚)! 柳原白蓮の愛人の父親は宮崎滔天だった
2014年10月12日 (日) | 編集 |

NHKの朝ドラ『花子とアン』は好評のうちに終了して、私も全話見ていたが(^_^;)
このドラマが話題になったのは、主人公の村岡花子よりも、親友・柳原白蓮の魅力に
よるものが大きかったと言えるだろう。





写真は「週刊フライデー」より。
歌人・柳原白蓮と夫で九州の炭鉱王・伊藤伝右衛門。
「大正三美人の」一人といわれる白蓮は華族の家に生まれるが
伝右衛門との望まない結婚に抗って、年下の帝大生・宮崎龍介と駆け落ち。
大阪朝日新聞に伝右衛門への絶縁状を掲載して大きな話題になった。




朝ドラではこの白蓮と龍介、伝右衛門の三角関係と恋の行方に大きな注目が
集まったわけだが、それよりも私にとっては宮崎龍介があの「大陸浪人」宮崎滔天の
息子であったことの方が驚きの事実だった。ドラマはその点には触れていない。






宮崎滔天
「中国革命の父」孫文と親交を結び、
3人の兄たちと共に生涯孫文を支え続けて
辛亥革命を成し遂げる大きな力となった。




私の好きなマンガの一つ、バロン吉元の『柔侠伝』の中にも、この宮崎滔天が
数シーン描かれている。なにぶん10代の頃に読んだマンガなので(ストーリーも
明治から昭和と膨大な量にのぼる)詳細は覚えてないが、この時代の政治や社会・
思想状況が大きな流れとして理解できるので、貴重な作品でもある。
特に殺伐とした世相の中を強く明るく生き抜いていく女性たちが好意的に描かれ、
中でも柳家3世代のヒロイン、駒子、朝子、茜が実に魅力的である。



 







 ロキの映画がブレイク中なんだそうだ
2014年05月01日 (木) | 編集 |

本当は2月7日に書いたのに、「下書き」ファイルに突っ込んだままアップして
なかった日記を改めて記すことにする。今朝の…とあるのは、2月7日のことだ。


今朝の東京新聞の芸能欄に面白い記事が載っていた。
今ハリウッドでは英国人俳優が人気で、中でもブレイクしてるのが
映画『マイティー・ソー』でロキの役を演じたトムヒことトム・ヒドルストン
なんだそうだ。


映画『マイティー・ソー』は北欧神話を下敷きにしたアメコミが原作で、私も観たことがある(^-^) 主人公のソーとは北欧神話の雷神トールのことで、木曜日Thursdayの由来にもなっている。
映画では勝手に巨人国ヨトゥンヘイムに攻め入った罰で、父オーディン(北欧神話の最高神)によって現在のニューメキシコ州に追放される。砂漠に落下したソーは天文学者の女性たちと知り合い、なくした武器ムジョルニア(神話では槌ミョルニル)を探したり、自らの出自の秘密を知った弟ロキと戦ったりと、ハチャメチャな内容である。


しかしながら、ようやくロキ神の魅力が理解されるようになったのは
いいことかもね(^_^;) 私が子どもの頃、父からの誕生日のプレゼントはいつも本で
6歳の時は『小公女』、7歳で『クオレ』、その次が『北欧神話』『アーサー王物語』
『ロビンフッド』と続いた。
中学の時は『にんじん』、高校ではアンドレ・モロワの『英国史』と、ほぼイギリスに
偏ったものばかり(ーー;)  おかげで幼少の頃は、エリザベス女王が世界で一番偉い
人だと信じ込んでいた。
今でも最も近しい世界は、ディケンズだとか『嵐が丘』とか詩人のキーツとかで、そこに
北欧神話やギリシア神話、聖書物語、新選組、手塚治虫や石ノ森章太郎のマンガなど
が混ざり合っているかんじ(^_^;)  まさしくパラレルワールドだね。
新選組に惹かれるのは、ちょうど『サイボーグ009』のメンバーのようにキャラ立ちして
いるからだし、そのルーツはロビンフッドやアーサー王だ。
土方歳三は『嵐が丘』のヒースクリフを彷彿させ、フロックコートの衣装もよく似ている。


と…ロキ神の話題からずれてしまったが、彼の描かれ方から、ちょうどギリシア神話の
ディオニュソス神と同じように異端の神というか、古くからの神または異国の神のように
思われる。ロキは竈(かまど)に関係した神でもあるので、もし漢字で表すなら「炉鬼」が
ふさわしいのではないかと、私はひそかに思っているのである(^^ゞ





 秋深し 映画『009 RE:CYBORG』に想う
2013年10月28日 (月) | 編集 |

国民無視の自公・安倍政権の横暴政治に、徐々に風穴が開きつつある。
27日に投開票された川崎市の市長選挙では、自民、民主、公明推薦の
元官僚候補に挑んだ無所属新人で元県議の福田紀彦氏が初の当選を勝ち取った。
このまま安倍政権の専制が続けば、国民の怒りは再び自公を下野に追い込むだろう。


さてこちらは、その安倍政権を操る大ボス・米国の国家安全保障局(NSA)と
中央情報局(CIA)がドイツのメルケル首相の携帯電話を、なんと10年以上も
盗聴していたことが、26日に明らかになった。
以下、少しさかのぼって24日のニュースを転載する。






メルケル首相
ドイツだけの問題ではない、日本もダダ漏れ状態なのは同じだ。
選後70年近く経ってもなお、日独は敵国扱いを解かれていない。



   ウォール・ストリート・ジャーナル 10月24日
     http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304523904579154183115467674.html

    米国がメルケル首相の電話盗聴していた可能性―独政府が抗議声明

【ベルリン】ドイツ政府は23日、米国情報機関がメルケル首相の携帯電話を盗聴している疑いがあることを明らかにし、長期にわたる同盟国の「信頼を裏切る」行為だと述べた。

 ホワイトハウス報道官によると、この申し入れに対し、オバマ大統領は米国政府が現在そのような盗聴は行っていないと確約したという。しかし、過去において盗聴していたかは定かでない。

 ドイツ政府の声明は「わが政府は首相の携帯電話が米国情報機関により盗聴されている可能性があるとの情報を入手した。米政府に対し緊急に問い合わせるとともに、早急に完全な説明をするよう申し入れた」としている。

 首相報道官は、メルケル首相がドイツ政府が数カ月前から申し入れている米国のドイツに対する諜報活動の全容を米国側が明らかにすることを期待している、と述べた。











さてこちらは上の内容とはまったく関係なさそうな話だが…





2009年を「サイボーグ009イヤー」として
秋田書店・角川書店・講談社・小学館の4社が連合して刊行した
石ノ森章太郎『サイボーグ009』のコンプリート・コレクション。
全11冊+厳選エピソード特別編。
全部分厚いので、置き場所に困るのだ



私のマンガ歴もけっこうなもので(^^; 幼児の頃はディズニー漬け(ディズニー・アニメは
すべて両親に連れられて映画館で観た)、小学校では『鉄腕アトム』など主に手塚ものを
(これもなぜか親に渡された単行本がきっかけで)、中学校では石ノ森章太郎もの(当時は
石森と表記)に夢中になり、高校では一転して『ガロ』と白土三平に心酔した。
それ以後は再び手塚やその他大勢のマンガ家の作品に浸り、しばらく石ノ森のことを忘れて
いたが、「サイボーグ009イヤー」をきっかけに、再度009を読み返す機会を得た。
これまで夢中になったマンガはたくさんあるが、その中でも私自身に最もフィットしてるというか
自分自身をマンガ作品に例えるなら、やはりこの『サイボーグ009』になるだろうと思う。


2012年10月、神山健治監督・脚本による3DCGアニメ映画『009 RE:CYBORG』が
公開された。内容は石ノ森の未完のエピソード「天使編」と「神々との闘い編」をベースに、
キャラ造形も大人向けに大胆にアレンジされている。






物語の舞台は2013年の現在。
これは六本木ヒルズ。
とにかく映像が美しく、リアルな迫力に圧倒される。




    

冷戦の終結と共に役目を終えたゼロゼロナンバーサイボーグたちは
生みの親のギルモア博士から解散を言い渡されて、それぞれの故国に帰り
別々の人生を歩んでいた。それから30年…。
世界中で同時多発ビル爆破事件が発生。
爆破犯人たちの共通点は、「“彼の声”を聞いた」ということ。

左:上海の高層ビル群も爆破で次々倒壊する。
右:六本木ヒルズのマンション、レジデンスB棟で暮らす、009こと島村ジョー。
有事のための切り札という目的のため、ジョーは記憶を封印され
30年の間、18歳の高校生として孤独の中に生き続けてきた。
 



    

左:対馬海峡に駐留中の米軍イージス艦から
ヒルズの森タワーにミサイルが撃ち込まれる。
これもやはり「“彼の声”を聞いた」下士官の仕業だった。
昨年暮れ、私も森タワーの屋上「スカイデッキ」に行ったばかりだ(^^;
この屋上のヘリポートで、ジョーの記憶を呼び覚ますため
005(ジェロニモ・ジュニア)が激しい攻撃をかける。

右:タワー上空を旋回していたA-400M輸送機から、突如003
(フランソワーズ・アルヌール)が夜の闇の中へとダイブする。
落下する003の姿を目にしたジョーの記憶は一瞬にして覚醒し、
「加速装置」を使って、落下する彼女の体を抱きとめた。
 





映画のストーリーの中で、特に印象に残った会話シーンが2つある。
これがその1つ。中国・天津市の廃棄物処理施設に潜入した006(張々湖)は
死体兵士「ラザロ」に襲われる。ラザロを開発したのは、軍事開発機関である
米国防高等研究局「DARPA」と民間企業アシェッド社である。
イラク戦争で死亡した米兵やアラブ兵の死体をサイボーグ化した兵器だ。

で、この場での006とサイボーグたちの頭脳であるサイキック・ベビー001
(イワン・ウィスキー)との会話。001は遠隔地からテレパシーで話している。
001「最初のアメリカの自爆テロで倒壊したビルの瓦礫が、SMO(海運会社)を
通じて中国に売却されていたことがわかったんだ」
006「爆破現場の瓦礫といえば、重要な証拠物件アルな」
001「そのとおり。なのに大した調査も行われないまま、簡単に民間企業によって
国外に運ばせてしまったというのは、どう考えてもおかしいからね」

これは明らかに311同時多発テロを意識した会話である。
311が起きてほどなく、瓦礫が中国に売却されたという記事が『噂の真相』に
掲載され、これをきっかけに私は米国政府の関与を疑うようになったからだ。




  

また“彼の声”を聞いたというパイロットが乗った米空軍のB-2爆撃機が
インド洋上で消息を絶った。そして米国防総省の指令で嘉手納から追撃のために
発進したF-38戦闘機に搭乗していたのは、002(ジェット・リンク)だった。

で、ジェットの勤務先が、盗聴と謀略で今話題のNSAなのだ。
…と、強引にメルケル盗聴のニュースとつなげる(๑≧౪≦)

ギルモア博士の推測では、連続高層ビル爆破テロには米国政府が関与しており
更にその背後には、イスラエル国防省が出資している軍産複合体のサミエル・
キャピタル社とその関連企業の存在があって、エシュロンの通信記録の一括管理や
死体兵士の開発などで世界戦争を継続化し、兵器と安全保障を売りさばこうと
企んでいるというのだ。そしてこのシステムを運用管理しているNSAに所属する
ジェットも爆破テロに関与している疑いがあり、ジェットと他のゼロゼロナンバー
サイボーグとの間の戦いも想定しなくてはならないと言う。

さて領空侵犯のため中国空軍の攻撃を受けたジェットはF-38から脱出し、
自力飛行でなおも追跡を続けるが、ドバイ上空でB-2爆撃機から5発の短距離誘導
ミサイルが発射された。そこへ001のテレポーテーションによって009が出現し、
レイガンでミサイルを破壊。B-2の翼の上に飛び降りた。

左右とも:B-2ステルス機の上の002(ジェット)と009(ジョー)。
で、ふたりの会話がとても面白い。 
 






009「ギルモア博士は、すべての爆破テロにNSAやアメリカ政府が
関与していると考えてるみたいだ」
002「だがゼロゼロナンバーサイボーグとしての任を解かれた時
なぜか日本人のおまえが財団に残ることになった。
ちっぽけで専守防衛を良しとするおまえが
“来るべき時のためのリーダー”だと? ふざけるな!!
世界の平和と自由を守ってきたのは
オレたちアメリカ人だ!!」







009「そうだね…。
でもそれは、世界にとっての“正義”だったのかな?」
002「オレにとっての“正義”は
オレの邪魔をする者を排除することだ!!」




  

物語のクライマックス、
米海軍の原潜の艦長が「“彼の声”に従って人類をやり直す」
と交信後、フィリピン沖で消息を絶った。
核ミサイル発射まで、あと15分。
003(フランソワーズ)が情報検索した結果、ハワイ沖にいる
米海軍のイージス艦センシネルが迎撃ミサイルシステムを搭載
していることがわかった。001(イワン)のテレポーテーションで
009、003そして004(アルベルト・ハインリヒ)の3人が
イージス艦に乗り込み、制圧。その時、原潜からミサイルが発射された。
すぐに003の操作によって迎撃ミサイルも発射され、23機のミサイル
が次々に迎撃されるが、残りの1機は撃ちもらしてしまう。
最後に残されたのは、実際にミサイルを爆破することしかない。
009は、戻る手段のない宇宙空間へとテレポートされた。

左:核弾頭に取りついて爆弾をセットする009。
しかし彼が乗ったノーズコーン(壁面)が切り離されて、肝心の核弾頭は
どんどん離れて行ってしまう。もうだめだと思ったとき、大気圏を抜けて
飛んできた002が、彼の腕を引っ張って核弾頭へ向けて加速した。

右:009の手が届いた次の瞬間、力の限界を超えた002の体は
バラバラになりながら地球へと落下していった。
これは石ノ森のコミックス版「地下帝国“ヨミ”編」最後の名場面シーンの
オマージュである。私はリアルタイムで連載マンガを読んでいて、
ジョーとジェットが抱き合いながら流れ星になって地上へ落下するシーンに
強いショックを受けたことを覚えている。
 
 



    

エピローグ
ここはどこだろう、天国なのか?
009は穏やかにベッドの上で目覚め、死んだと思った仲間の
ゼロゼロナンバーたちも戻ってきた。
ギルモア博士「ここはまぎれもなく君たちが救った世界だよ」
そう、“彼の声”を聞いた誰かが強く望んだ世界なのかもしれない。
 






ジョーが目覚めたフランソワーズのセーフハウス。
その壁に埋め込まれた「天使の化石」。
002「私ね、あの流れ星を見たときに思ったの。“彼”は、私たちに
越えられない試練は与えないはずだって。
そして天使の化石とは、“彼”の声を聞き、自らを犠牲にすることで
正義を為そうとした、名もなき者たちの姿を
とどめたものだったんじゃないのかな…って」




以上、なんか取り留めのない内容になってしまったが、初期のテレビアニメの009では
日本国憲法第9条の全文が画面を流れるといったこともあり(第16話「太平洋の亡霊」)
はっきりした思想や哲学を持ったマンガでもあった。
009=9条の体現ととってもいいかもしれない。

そうした意味では、石ノ森が関与していないオリジナルとしてのこの映画は、キャラ造形も
含めて多少の違和感が感じられるだろう。加えてストーリーも複雑で、“彼”(神)および
「天使の化石」のメタファーの関係性がわかりづらい。

私も最初は低体温系の009(^^;; とエロ過剰の003に違和感ありまくりで、話の筋も
頭に入らないくらいだったが、もう一度見返した後で、ま、これもありかな…とようやく
納得したのだった。

石ノ森が「神々との闘い編」をどう展開しようとしていたのか、もはやその全貌を知る由
はないが(簡単なメモ書きは残っている)、かなりシビアな内容になったことは確かだろう。
これも未完になった手塚治虫の『火の鳥 大地編』と共に、秋の夜長のつれづれに、
自分なりのストーリーを紡いでみるのも面白いかもしれない。







 ドラマ10 激流 ~私を憶えていますか?~
2013年06月06日 (木) | 編集 |

今月末に始まるドラマで、期待してるのがこれ↓
しばらく舞台に専念していた山本耕史が、ようやくテレビに戻ってきたってかんじ






〈NHKのHPより〉

6月25日(火)スタートのドラマ10「激流 ~私を憶えていますか?~」。
5人の同級生たちが、東京で「激流」に飲み込まれて翻弄されながらも、友情を糧にミステリーを解明し、難局を乗り越えていく!
ロストタウンと化した故郷の郷愁を誘う風景をアクセントに、柴田よしき版「セント・エルモス・ファイアー」とも言えるこのドラマは、同じように日々闘っている女性視聴者たちを、ミステリーの渦中へぐいぐい引き込みます。

   
      田中麗奈(三隅圭子 役)
      桐谷健太(東萩耕司 役)
      国仲涼子(御堂原貴子 役)
      ともさかりえ(秋芳美弥 役)
      山本耕史(鯖島 豊 役)




「セント・エルモス・ファイアー」というのは1985年のハリウッド映画で
エミリオ・エステベスやデミ・ムーア、アンドリュー・マッカーシーらが出演。
懐かしい名前だなあ(^^;; 同じ大学を卒業した7人の若者たちのその後の成長物語を
描いたもの。彼らの学生時代からのたまり場が「セント・エルモス・バー」。
このバーの名前と、嵐の海に巻き込まれた水夫たちを導くという「セント・エルモの火」
をかけたのがタイトルの由来だ。

時代は違うが、いつも仲良く一緒に集っていた私の学生時代のゼミ仲間やサークル仲間を
思い出してしまうな。これはぜひとも観なくっちゃ






 役者の集中力はスゴイね
2013年05月12日 (日) | 編集 |



東京新聞 5月12日より



3月7日の朝日新聞より。
いかにも健康体の天海祐希が心筋梗塞で舞台を降板というニュースにも驚いたが、急遽代役に抜擢された宮沢りえがたった3日の稽古で本番をこなしたというのにも驚いた。
短時間で長セリフを覚えられるって、ほんとに役者はスゴイ。
ま、私には無理だな。
短時間で演劇用のシナリオを書いたことはあるけどね。






 若き日の手塚マンガを発見
2012年11月03日 (土) | 編集 |

土日連休の文化の日。
久々に仕事が忙しく(^^; いろいろな雑用で夜遅くまで駆け回っていた。
さて文化の日の11月3日は、故・手塚治虫の誕生日でもある。
そんな時に手塚がデビュー直前に描いたマンガが発見された。
同じ頃に描かれた『メトロポリス』の先駆け的な作品などと、線のタッチも
同じだ。
私は手塚マンガで育ったようなものだが、逆にこうしたまだ無名時代に
描いた作品の方が、手塚マンガの真骨頂を色濃く残しているのかもしれない。





写真:共同通信
手塚治虫さんの未発表作品。
後の作品でおなじみのキャラクター「ヒゲオヤジ」(右)も登場



   共同通信 11月2日
     http://www.47news.jp/CN/201211/CN2012110201001509.html
     未発表の「手塚漫画」発見 中学同級生が60年保管

 左は時事通信掲載の写真より。

 漫画家の手塚治虫さん(1928~89年)が終戦直後の10代後半に描いた未発表作品が、2日までに見つかった。手塚さんから譲り受けた中学時代の同級生が60年以上保管していた。今春、東京都内の古書店に出品されたのを手塚プロダクションが入手し、手塚さんの作品と確認した。

 作品は、戦争が終わり漫画を描ける自由を手にした解放感にあふれている。闇市や食糧不足など当時の社会問題を題材に風刺も効かせている。手塚プロは「存在すら知らなかった。デビュー直前に描いた可能性もあり、漫画史的に極めて貴重な資料だ」としている。
 







 遅ればせながら孫崎享氏の著書を買ってみた
2012年09月28日 (金) | 編集 |




どこで見たかは忘れたが、孫崎氏の著作を、何でもアメリカが悪いと
結論づけている「トンでも本」みたいに批判しているコラムを読んだことがある。
勝手に悪口を言ってればいい。
ちなみに私は、孫崎氏の『日米同盟の正体――迷走する安全保障』を
出版後すぐに購入した。この『戦後史の正体』もかなり売れているという。
いつ読み始められるかはわからないが^^; 少しは勉強しなくちゃね。






 『薄桜記』のCDを買った
2012年08月27日 (月) | 編集 |



BS時代劇『薄桜記』のオリジナル・サウンドトラックが
早くも発売されたので、さっそく購入(^^;
あの麗しい姿のポスターが表紙なのがうれしい。






主題歌の「Silence」を含めて、全32曲。
BS時代劇の音楽は、大河ドラマ並みに豪華なのがうれしい。
CDと解説の裏表紙の両方に、桜の花びらのイラストが入っている。
BS時代劇の他の音楽では、『新選組血風録』のサウンドトラックと
『陽だまりの樹』の主題歌「花になれ」のCDを持っている。
いずれもスマホに入れて、深夜の睡眠導入サウンドとして聴いている(~_~;)






典膳さまの拡大画像











 薄桜記
2012年06月23日 (土) | 編集 |






■来月7月13日から、いよいよBS時代劇『薄桜記』が始まる。わくわくo(^-^)o
『陽だまりの樹』も原作に忠実でなかなかよかったんだが、冒頭の音楽がちょっと…。
それに肝心の良庵のイメージが… 
もっと年上の中堅俳優をキャスティングしてほしかった。
というわけで、『陽炎の辻』以来の山本耕史の殺陣シーンに期待。


■しかしながら、なにゆえ『薄桜記』?
『陽炎の辻』ものっけからあまりに悲劇的な展開で唖然としたが、
『薄桜記』はそれにも増して陰惨なエピソードだし。
できれば映画ではなく、より原作に基づいた作品であってほしい。




  


左:市川雷蔵主演の映画
原作を大幅に改編して、独自の悲劇的美学を追求している。
映画は観たが、最後は片手片足になっての、なぶり殺し的な斬り合いで
これでは主人公の典膳がかわいそうすぎ。
金城武と中山美穂のドラマ『二千年の恋』のラストシーンを彷彿させる。
堀部安兵衛は勝新太郎が演じた。

右:五味康祐の原作本 これは未読。
ひげを生やし着流し姿の五味康祐を何度かテレビで見たことがあった。
五味といえば柳生武芸帳かな? 父の書斎にも何冊かあったような。
【本の紹介より   旗本随一の遣い手と言われた丹下典膳は、
はからずも左腕を失い市井の浪人となった。
一方、一刀流堀内道場の同門である中山安兵衛は、高田馬場の敵討で剣名を挙げ、
播州赤穂藩浅野家の家臣・堀部安兵衛となる。立場は異にしても、互いに深い友情を
感じる二人。だが、浅野内匠頭の殿中刃傷は、二人の運命をさらに変転させた。
時代小説界の巨人が、侍の本分を貫く男たちを描いた名篇。】